(4)検索ワード
夕飯を作る合間に居間をのぞく。
みづきさんはこたつに入り、ちょっと前に市杵嶋姫命に買ってもらったというノートパソコンでインターネット中だ。
「何を見ているの?」
「検索ランキングとやらを」
なぜかえらく真剣な面持ちでそう言って場所を空けるように身体を動かしたので、ぼくは遠慮なくみづきさんの傍らに膝をついた。
モニタのなかにあったのは、今年の主だった検索のキーワードをランキングにしたといういかにも年末系のニュースだ。
「何か気になることでもあったの?」
この世界に来てまだ日の浅いみづきさんが真剣に見るようなものでもない気がするのだけれども。
「なぁ、仙太郎」
眉間に皺を寄せたみづきさんが、こちらに向き直った。
「この検索ランキングだが、どうしてこのように単語が並んでいるのだ」
「……え?」
「検索、というのはポータルサイトなどと呼ばれるページにある、検索というボタンが横についた空欄に、見たいホームページのアドレスを入れてボタンを押すことではないのか?」
「……」
「……違うのか?」
とりあえず、違うよ、と答えると、みづきさんはちょっとばかり頬を赤くして、口調だけは尊大に、
「そうか。わたしはまた一つ賢くなってしまったな」
と言った。
そうしてぷいとそっぽを向いたみづきさん。偉そうだけどたまにかわいいよなぁと思ってしまったぼく。
今日も平和です。
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