ゐ次元 

膤古-yukiko-

こんにちは

「こんにちは」


楽しみにしていた休日の昼間。

1週間の疲れも溜りに溜まっていたため部屋で惰眠を貪ることを決めて、目覚ましのセットを解除し、布団の中で2、3度寝返りを打ったときだった。


「こんにちは」


聞き覚えのない声が玄関から聞こえる。宅配の指定もしてないし、親から仕送りの連絡もない。

大家さんや隣近所の部屋の人でもなさそうだし、第一なぜチャイムを鳴らさないのか。


よくあるセールスとか宗教の訪問勧誘の押しかけかもしれないし、正直今はなんでもめんどくさい。


「こんにちは」


『いません』と心で言いながら、本日4度目の寝返りを打ち、このまま居留守を決め込むことにした。


「こんにちは」


しつこい。っていうかいい加減チャイムを鳴らしたらどうなのか。壊れてもいないはずだ。


「こんにちは」


はいはい、居ませんよ。


「こんにちは」


しーーーん。


「こんにちは」


おやすみなさい。


「こんにちは」


……


「こんにちは」








「こんにちは」















「こんにちは」























「こんにちはこんにちは こんにちは   こん にちは こ んにち は こんにちは こ んにちはこん に ち はこ んにち は こんにち  は こんにちはあ こんに ちは  こんにち は こ  ん

に ち は こんに ちは こん にちは こんにちは こん にちは こんにちは こんにちはけこんに ち は こ んに ちは こんにち は こんにちはこんにちは こんにちはろ こんにちは こ んにち

は            こ                     ン


  ニ                             

 

                              ち 

 


                                             

                          は





                                                       」





あと少しで待望の夢の中へ…と旅立つ手前で飛び起きた。


おかしい


毛穴から瞬時に汗が湧く。心臓の脈打ちが早くなり、指先が震えている。


なんだ、今のは…特に最後、聞き取れてはいたが、なんというか、”普通”ではない…


「こんにちは」


明らかに異常だ…


解除した目覚まし時計で時刻を確認する。

”12:39”、昼時真っ最中、真昼間であることが確認できた。


時間的にも異常者が出るような…異常者?”者”?


「こんにちは」


相変わらず玄関から声がする。


玄関から


「こんにちは」


待て…この声…


「こんにちは」


ドアの外からじゃない


「こんにちは」


はっきりと聞こえすぎ「こんにちは」




振り向いた先に何もない


後ろでも右でも左でも正面でもない



じゃあ何処から…






「    こ    ん   に    ち    は    」

































頭上からあの声と、何かが這う音が聞こえた

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