第八夜 悪魔vs天使

「ギャワーーーーーーーッ!!ヒィイーーーーーーッ!!」


おいおい段々叫び声がひどくなっていくじゃないか?聞いてるこっちの方が怖いよ!!

本気で心臓麻痺なんか起こさないだろうな?

えーっと管理事務所にAEDとか置いてあったっけ?もしもの時には取りに帰らなくっちゃ。でも・・・往復60分も掛かってたら死んじゃうかなやっぱり。


そうだ、洞窟の外に簡易トイレがあったハズだ。ワープすれば直行出来るぞ!って何が悲しくて管理事務所へ行くのに、ボットン便所の便器に飛び込まなきゃならんのだ!!一体、どんなプレイだよ?!

全身糞まみれのボクが管理事務所に飛び込んで来てAEDを掴んで出て行ったら、向こうもみなビックリするよ。ボクにしたって人間としての尊厳は維持しておきたい。



そうこうする内に近くに人のいる気配を感じた。今までなら、もっと離れた場所から恐る恐る近づいて来る物音で気がついたのに変だな。

息を殺してソッと覗くと、出た!遂にあの天使のお出ましだ。少女の姿とはいえ、やたらと気高いオーラを発散させている。懐中電灯すらも待たずにスタスタと歩いているのは、自身が放っている後光のお陰だろうか。


「そこなる少年よ。」

突然、その天使がこちらを見て口を開いた。

やっぱり本物らしい。流石に気づいてらっしゃる。


「ハイ。」


「おまえがあの使い魔を喚び出した神への反逆者か?」


そんな大それた事は考えたことはない。


「まさか反逆だなんて・・・」


「黙れ!」


聞いたのはそっちだぞ!?


「獣はあの中だな?」


ふーんもう教えてやるもんかい。うちのアリスを獣呼ばわりとは、天使さんはお偉いもんだな。大体、神様とやらに護られた覚えはない。おまえさん達がボクを救ってくれていたなら、自殺なんかを考えたりする事もなかっただろうな。あまり役には立っちゃいないけど、アリスが傍にいる事で、孤独だったボクはそれなりに救われている。



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