赤い口紅
小さいときの祖母の印象は
赤い口紅の優しいばあちゃんだった。
……………………………………………
曇りの日にスマホから聞かされる速報
[おばあちゃん死んじゃった]
私は母をなだめた。心ん中では年だから仕方ないしがんばってくれたんだと思った。不思議とかなしいは思わなかった。
だけど、スマホを切ったら。
一粒の涙が溢れたそのとき確認した
あぁ、
もぉいないんだ。
いつも味方してくれた祖母が
化粧を楽しそうにしてた祖母が
笑って私の名前を呼んでくれた祖母が
私の夢を静かに背を押してくれた祖母が
大好きな、祖母が、
もぉいないんだ。
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おばあちゃん。墓参り遅くなってごめんね。葬式以来だね。なかなか予定作れなかったんだ。ほんとだよw将来の夢ねおばあちゃんの職業にするよ。おばあちゃん喜んでくれるかな?葬式のとき見てくれた?口紅…。
おばあちゃんのもらったんだ。
お母さんや叔父さんとか不謹慎って言われちゃったけど。化粧もしたよ。おばあちゃん見たがってたもんね。
だから、
泣かなかったよ。泣いたら化粧崩れちゃうから、おばあちゃんからもらった真っ赤な口紅落ちちゃうから。私は泣かないよ。負けそうなときも泣かないよ。だって口紅の赤には似合わない表情だから。
おばあちゃん大好きだよ。
ありがとう。けど大丈夫だよ、
もう私は
泣き虫な私じゃなくて、
真っ赤な口紅が似合う強い私だから。
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