赤い口紅

小さいときの祖母の印象は

赤い口紅の優しいばあちゃんだった。


……………………………………………

曇りの日にスマホから聞かされる速報

[おばあちゃん死んじゃった]

私は母をなだめた。心ん中では年だから仕方ないしがんばってくれたんだと思った。不思議とかなしいは思わなかった。

だけど、スマホを切ったら。

一粒の涙が溢れたそのとき確認した


あぁ、


もぉいないんだ。



いつも味方してくれた祖母が

化粧を楽しそうにしてた祖母が

笑って私の名前を呼んでくれた祖母が

私の夢を静かに背を押してくれた祖母が



大好きな、祖母が、


もぉいないんだ。


**************************************

おばあちゃん。墓参り遅くなってごめんね。葬式以来だね。なかなか予定作れなかったんだ。ほんとだよw将来の夢ねおばあちゃんの職業にするよ。おばあちゃん喜んでくれるかな?葬式のとき見てくれた?口紅…。


おばあちゃんのもらったんだ。

お母さんや叔父さんとか不謹慎って言われちゃったけど。化粧もしたよ。おばあちゃん見たがってたもんね。


だから、


泣かなかったよ。泣いたら化粧崩れちゃうから、おばあちゃんからもらった真っ赤な口紅落ちちゃうから。私は泣かないよ。負けそうなときも泣かないよ。だって口紅の赤には似合わない表情だから。




おばあちゃん大好きだよ。


ありがとう。けど大丈夫だよ、


もう私は

泣き虫な私じゃなくて、


真っ赤な口紅が似合う強い私だから。

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