第117話イクメン本気でかっこいい!
妹の夫が、激かっこいいと思ってたら、肉親の欲目でもなんでもない。
義理の弟ではあるが、妹一家のパパなので。
立派な一人の男性なので。
彼をたてている妹の話を聞いてきたので、ますます好印象が強まる。
一歳半年になるあかちゃんを膝に乗せて、書類をいじってる姿――Yシャツ姿にスラックスをあわせて母と不動産の話をしている。
母と祖母とわたくしは、妹家に家事育児を手伝いに行ってきた。
わたくし人との距離感が半端ないので、義理の弟を苗字で呼んでいた(!)
ところが彼はでかけるときに、わたくしを妹が呼ぶ呼称で呼んだ。
なんとあざとかっこいい。
「Mちゃん、お願いね」と言ったんである。
世間話をした後でため口をきかれると、仲が良くなった錯覚がして、うれしい。
洗濯物を干しながら「いってらっしゃい」と言った。
はたしてこういう時の挨拶ってこれでいいのかなと思いながら。
そしてそんな彼の息子が、珠のようにかわいい。
おむつが濡れると、前をぱっぱと手のひらで叩くようにして教えてくれる。
本当にかしこい。
妹は紙おむつを節約しているため、母もなかなか取り換えてあげようとしない。
すると、おむつポッドをたたいたり、おもちゃのバイクの隙間にものを入れたり、チーズの包みをくしゃくしゃとして、捨てる動作などして、とにかく一生懸命、伝えようとちょこまか動き回るのである。
よっぽどおむつが濡れているのが嫌なのだ。
母に言って、ズボンを脱がせた。
あんな落ち着かない赤ちゃんをみているくらいなら、おむつを変えてあげた方がいい。
そして、妹(ママ)が帰ってくることになっている昼。
母の鞄と靴をもってきて、母に渡そうとする。
帰れ、か、外につれていけ、かの意味らしい。
一緒に外に出た。
ひなたぼっこをしている猫たちを眺めに行くのだ。
しかし一歳やそこらの子供が、自分で靴を持って、はかせてくれと足を出すのはとても珍しいと思った。
反抗期前で、やることなすこと素直でまっすぐだ。
大人がこういういたいけなあかちゃんを裏切ってはならないと思うのだ。
あかちゃんの努力を目の前にして、無視などしたら、あかちゃんが将来どうなってしまうかわからない。
おしっこを教えたのに、無視され続けたら?
伝えようという努力が無駄になったことで、学習がうまくいかなくなってしまうかもしれない。
しかしなんで妹の息子たちはこんなに頭がよくできているのだろう。
シェイクスピアのリチャード三世のセリフが浮かんできて不安になるほどだ。
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