第14話 日常生活

 そこから各方面を割り当てられて探していく。発見との報告がありそのまま救助しているようだ。俺も下を見る。今のこの時間になっても救助の連絡が出来ないのは機体が壊れているか、意識を失っている可能性が高い。だから、低空飛行は禁じられてる。二時被害を出さない為にだ。そして、煙を探す。

 何度も持ち場を旋回して探す。

 と、無線が入ってきた。

『戦闘員、ご苦労様でした。救援隊が到着しました。後は、こちらで引き継ぎます。それぞれの持ち場に帰り昼食を取って次の連絡を待って下さい』


 やっと帰還できる。戦闘の後の救助活動だ、救助用にはできていないセイヴァーでの救助は労力を使う。


 校庭に着きヘルメットを取り戦闘服を脱ぐと一気に緊張感から脱力感へと変わる。

 食堂へ一直線へ向う。疲れた。腹減ったが正直な感想だ。ああ、ちょうどお昼時間だ、並ぶのだるいな、と思って行列に並ぼうとするとさあっと道が開いた。後ろからきた同じ部隊の奴が俺の肩を叩く。

「昨日の今日だ。みんな気を使ってるんだろ。遠慮なく先に進ませてもらおう」

 正規戦闘員、戦闘員は一応みんなと色分けした制服に付けるバッジがある。それは先生だろうと社会人であろうとみな同じである。普段特別扱いを受ける訳じゃなかったが、こう今までとは違う戦闘を繰り返したのを聞くと自然とそうなるんだろう。正直ヘトヘトだったので助かった。

「すまん。ありがとう」

 を繰り返して最前列へ。金券を買わなくていいのは始めからの特別扱いだけど。

「おばちゃん! Aセット!」


 お茶を三杯入れて席を見ると健太郎が固定されてない方の手を振ってる。あいつ、安静にしろよ。

「よお! 今日も無事だな! 聞いたぜ今日も活躍したって」

「たまたまだよ。青山先生が足を怪我したみたいだ。大丈夫そうだったけど、隊長は代わるなきっと」

「そうなの? 青山先生いい隊長なのに。欠員メンバーまとめたりしないといけないし、次誰だろうね」

 え! 南? 疲れてて目の前の健太郎しか見てなかった。いたの? え? でも今日は友達いるんじゃ。

「南?」

「ん?」

「南、続報聞いて心配で一緒にお前を待ってたんだぞ!」

 健太郎の言葉にずっと南と二人だったのかよ健太郎って気持ちになる。いや、そこではなくむしろ俺を南が待っててくれたことに反応しよう俺。

「ありがとう。大丈夫だったから」

「今日は誰も運んでないの?」

「あ、あれは南じゃないと無理だよ。一人乗りなんだし」

「あ、そう、そうよね」

 お互い昨日の事を思い出し顔を背ける。


「おい! 薫、早く食べろよ。報告また始まるみたいだから。中断してたからな」

「ああ、あと追加もあるかもな。マウスの追跡できたんじゃないか? 相当な数だったし」

「そんなにいたの?」

 南の問いは心配そうだ。

「ああ、昨日の倍どころじゃなかった。だから十五部隊で囲んでたんだけどかなり逃げられてて。で、今回はその逃げたマウス含めた全部のマウスが爆発したんだ。青山先生は逃げた先に別のマウスがいてやられてた」

「え! マウスが爆発したのか? それ聞いてない。てっきり後続部隊だから爆発からは逃げれると思ってたら、そっちのが危ないじゃないかよ? あ! それでお前の活躍か? マウスの自爆見抜いたんだな?」

 おいおい! さっきのは俺のはどの活躍したって話だったんだよ。健太郎?

「ああ、まあ、今度はマウスが赤く光って見えたんで」

「マウスの攻撃が急激に変化してるね」

「そうなんだ。今までの戦場じゃなくなった」

 南も健太郎も昨日を知っている。もう今まで通りじゃないとわかっていたが、こうも作戦を変えてくるなんて。しかも、命の危険が大きくなった。今までだって危険だったがその比ではない。言葉をなくした俺たちは黙々と食べ続けた。


 こんな風に通常の生活と戦闘を繰り返す日々はもう送れない時代になってしまうんだろうか。

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