短歌、記憶帖

6

1

（句）

愛込めて　ところがどっこい　ひとり相撲

勝ってこいこい　負けてよしよし

（読み方）

あいこめて　ところがどっこい　ひとりずもう

かってこいこい　まけてよしよし

2

闇に沈む　人待つ人に　誰ぞ問う

鬼をぞ待ちぬ　八重歯重ねて

やみにしずむ　ひとまつひとに　だれぞとう

おにをぞまちぬ　やえばかさねて

3

極楽の　蜘蛛に似る　そのまなこ

朝日に打たれ　銀の糸すじ

ごくらくの　くもににる　そのまなこ

あさひにうたれ　ぎんのいとすじ

４

鬼の問い　恋に焼かれて　朝に死ぬ

また甦れ　夕風のこころ

おにのとい　こいにやかれて　あさにしぬ

またよみがえれ　ゆうかぜのこころ

５

夜ふけし　雪降り積もる　窓の露

うつむき泣くか　胡蝶蘭よ

よるふけし　ゆきふりつもる　まどのつゆ

うつむきなくか　こちょうらんよ

6

きみがため　星降る夜に　手紙書く

紙の音音　つばさ羽ばたき

きみがため　ほしふるよるに　てがみかく

かみのおとおと　つばさはばたき

７

ざるの上　転がり落ちぬ　柿子ちゃん

はらはら親見る　おぼつかぬ手を

ざるのうえ　ころがりおちぬ　かきこちゃん

はらはらおやみる　おぼつかぬてを

８

ヒバリの子　見上げて残る　空かすみ　

はじめてのこい　小鈴の音色

ひばりのこ　みあげてのこる　そらかすみ

はじめてのこい　こすずのねいろ