第1215話 通路への警戒心
しかし、其の警戒心に反して敵が出てくる気配は見られない。
「次の兵器は出てきませんね……兵器はこの通路には入ってこられないのでしょうか?」
「通路の構造上そうなっているのか、或いは兵器自体にそうプログラムされているのかは分からないけど、其の可能性はあるわね」
「どうしてそう言い切れるんだ?」
「この通路は恐らく生産プラントの管理室、或いはそれに準ずる重要な場所への移動手段として建造された物、そこに間違って兵器が入ってきてしかも作業員を誤射する何て事になったら大問題よ。
下手をすれば重要な機器を損傷させる可能性もある、機械はそうした融通が効かないのが短所なのだから」
「確かに其の通りですね、逆の言い方をすればこうして兵器が入ってこない場所に居る事が安全に繋がると」
「けどよ、此処の窓はガラス張りで簡単に入れたぜ、それで本当に……」
「いえ、簡単じゃないわ」
コンスタリオ小隊はこの通路に兵器が侵入してこない訳を話し始めるが、其の最中でコンスタリオが不意に奇妙な発言をする。
その発言にモイスとシレットは表情を変えずには居られなかった、先程の光景を見る限り、コンスタリオはいとも容易くガラスを蹴破った様に見えたからだ。
「簡単じゃないって、どういう事なんです?」
「あのガラスは明らかに魔術、或いは妖術で強度が強化されているわ、そうでなければそもそもモイスが銃弾を打ち込んだ時点で穴が空いている筈でしょう」
コンスタリオの言葉を聞き、シレットとモイスは辺りに散らばっているガラスの欠片を見渡す、するとコンスタリオの言葉通り、確かに亀裂は入っているものの、モイスの打ち込んだ銃弾で割れているガラスは全く無かった。
否それだけであれば不思議に思う程の事ではない、ガラスを貫通した銃弾が見当たらなかったのだ。
それはつまり、このガラスが銃弾を防いだ事を意味している。
「確かに銃弾は貫通していませんが、それだけでは……」
「それだけだと証拠としては弱いのは其の通りよ、だけどさっき私が蹴った時の反動は明らかにガラスのそれではなかった。其の証拠に今割った部分以外のガラスを見て」
シレットが尚も疑問を続けようとするが、コンスタリオはそんなシレットに今突き破ったガラスを見る様に促す。
するとそこには一面の綺麗なガラスが蹴破った場所を除いて存在しており、僅かな亀裂も入っていなかった。
「他の場所に亀裂が入っていない……つまり、其の部分しか破壊出来なかった……」
ここに来て漸くシレットとモイスもコンスタリオの言いたい事を理解した様だ。
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