第1194話 シレットの思い
「只、シレットの指摘も的外れではないのよね。
住宅内の被害で特に酷かったのは本棚や机等資料を隠せそうな場所に集中していたから。
最も、それが逆に此方の目線を反らせる為の揺動という線も有り得るのだけど」
意気消沈したシレットを見かねたのか、星峰がこうフォローを入れる。
「そうなの……それだけでも言ってみた価値はあったって事ね……あ!!」
其の言葉を受けてシレットは少し元気を取り戻したのか、それとも単に反応しただけなのかはその表情からは読み取れない。
だが其の直後何かを忘れていたと言わんばかりの声を上げる。
「あ!!って……どうかしたの?」
あまりに唐突な声であった為か、上司であるコンスタリオも泡を食った様な表情を浮かべてシレットに問いかける。
其の様子からシレットがこうして声を上げる様な事は普段殆ど無いのだろうという点は容易に想像がつく。
「兵器の一件が衝撃的ですっかり忘れていたけど、私が向かった先のタウンで調べてみた施設からデータを取り出してきていたんです。
新しい情報が掴めるかどうかは分からないけど確認して見る価値はあると思います」
コンスタリオに尋ねられた為か、シレットは急に敬語になって話し出す。
其の様子を見て星峰は
「施設のデータか……確かに調べて見る価値はあるかも知れないわね」
と返答しシレットに同意する。
その同意を確認したシレットは
「ええ、ありがとう。
早速其のデータを表示するわね」
と言ってデータを複製してきた端末を司令室のモニターに接続し其のデータを表示しようとする。
だが其の直前に天之御が
「待って!!もしかしたら其のデータ……其のデータを表示する前に今からそちらに送信するプログラムを通して」
とシレットを静止する。
突然の静止を受けたシレットは
「え!?まあ、そうした方が良いならそうするけど……」
と困惑した表情を浮かべつつも天之御に言われた様に直後に送られてきたプログラムを一旦起動し、其の上でデータを表示する。
すると画面上に一瞬ザラつきが入る。
「今のザラつきは何だ!?あんなの今まで……」
「やっぱりか……危ないところでしたね」
其のザラつきを見逃さなかったモイスが困惑した声を上げたのと対象的に天之御は何処か胸を撫で下ろした様な表情を浮かべる。
「一体どういう事なんです?」
司令官が天之御に対して尋ねると天之御は
「昔あったんですよ、ブントの施設からデータを持ち出したまでは良かったものの、其のデータ自体に罠が仕掛けられていたケースが」
と返答し、先程の発言がかつて仕掛けられていた罠による物であったと言う事を告げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます