第1136話 司令の思い、司令の決断
「今回の侵攻作戦は突破を狙った中央部隊の壊滅に伴い、結果として失敗に終わることとなった。
だがそれと同時に魔神族の部隊も詳細不明の壊滅状態となり、結果として南大陸の侵攻も阻止される事となった、よって最終的な状態としては痛み分けと言う状態で考えていいだろう」
ブエルス司令官の告げた最終報告はその場にいる全員にとって一応の納得が行くものではあった、だが当然納得出来るからと言ってそれで総てが解決するという訳ではない。
「ブエルス司令官、西大陸と東大陸の魔神族部隊についてはどうなっているのですか?それにキャベルと西大陸部隊の司令官も……」
その場に集まっているコンスタリオ小隊以外の兵士からこうした質問が出てくるという事がそれを裏付けている。
「残念ながら衛星からの映像の以上はまだ復旧していない、いや、そもそも原因が何なのかすら分かっていない状況だ。
そして司令官達についてもその詳細は部隊と同様不明だ、残念だが安否も確認出来ていない」
ブエルス司令から告げられた言葉はその兵士に、そしてその周囲に居る兵士達にとっては残酷な告知であった、だが一方、コンスタリオ小隊にとっては朗報ではないものの、それとは違う意味合いを含んだ報告となる。
「部隊が壊滅してしまった以上、司令官の安否も確認出来ない、それに西大陸と東大陸についてはどの様な状況なのかも不明……一体この戦乱はどうなってしまうんでしょう……」
兵士の一人がそう呟いたのを聞き、ブエルス司令は
「二人の司令官の安否が確認出来るまでは私がこのキャベル部隊の総司令官となる、そして各タウンについてだが、現状殆どのタウンの戦力を突破部隊に回してしまった為、どのタウンも戦力が不足しているのが現状だ。
よって暫くの間は各タウンとも戦力の補充を優先し、防戦に徹する事とする。
既に他のタウンにもそう伝達しており、了承は取り付けてある」
と返答する。
その返答を聞いた兵士は取り敢えず安堵したと言った表情を浮かべるものの、直ぐにその顔は先程の不安が滲み出た顔に戻ってしまう。
恐らくは現状の先が見えない状況に対する不安だろう。
最も、その不安を抱えているのはその兵士だけではない、その場に集っているコンスタリオ小隊以外の兵士達殆どが同じ不安を内心に抱いていた。
「諸君らの不安は十分に承知しているつもりだ、だが現状我々が折れてしまったらその時こそ人族部隊の敗北となるという事を肝に銘じて欲しい」
その不安を察知しつつも司令は敢えて厳しい言葉を投げかけ、それに流されてしまわない様に呼びかける。
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