第1019話 振り払う葛藤

「そうね……なら頼りにさせて貰うわよ!!」


コンスタリオはそうアンナースに告げると兵器に接近していき、アンナースもそれに対し首を縦に振って頷き、両手に構えた銃を兵器に向けて撃ち込んでいく。

その銃弾を撃ち込む姿はコンスタリオの声に答えようとしているようにも自身の内心にある葛藤を振り払おうとしているようにも見える。


「今は……少なくとも今はコンスタリオ小隊とともに戦うだけ!!そうしなければ任務の遂行も出来なくなる!!」


内心でそう自分に言い聞かせ、アンナースは銃を構える。

アンナースが加わった事で更に連携の精度を増したコンスタリオ小隊は兵器を更に蹴散らしていき、其の場には瞬く間に兵器の残骸が積み重なっていく。

だがそれも余裕とまでは言えない、兵器が連携を取ってくる以上どうしても手古摺っている部分があるからである。


「くっ、やはり何時もの様には戦えない……地形の理が向こうにあるのも其の一因だけど……」

「ええ、平気にここまで手古摺るなんて事は今まで無かったわ……やはりこの兵器は今まで私達が戦ってきた兵器とは何かが違う……」


モイスとシレットがそう口にした後、コンスタリオも


「ええ……おまけに武装の威力や走行の強度、移動速度もこれまで交戦してきた兵器を上回っているわ、これだけの動きができているとなると少なくとも単なる量産型の兵器とは考えにくい。

この兵器が何時作り出されたのか、調べて見る必要はありそうね」


と言葉を続ける。

それを聞いたアンナースは


「だったら尚の事、司令官からの指示を遂行しなくてはいけませんね!!」


とコンスタリオ小隊に聞こえるように告げる。

その声を聞き、アンナースの方を向いたコンスタリオは


「ええ、そうね……アンナース、危ない!!」


と危機感を込めた言葉で伝える、


「え……」


その声に反応したアンナースが背後を振り返るとそこには急速に接近し、金槌の様な腕部分を振り下ろそうとする兵器の姿があった。


「くっ、動作が早すぎて……これじゃ……」


アンナースがそう内心で思った通り、今からでは離脱は間に合わない。

仕方なく防御態勢を取ろうとするが、その時兵器の右側から何者かが接近し、兵器に飛び蹴りを食らわせて横転させつつ破壊する。


「だ、誰!?ここはそう簡単に来られる場所じゃ……」

「確かにそうではあるけど、君達が来られるって事は不可能な話ではないよね」


アンナースが其の何者かに向けた声を調子する前に言うと其の何者かは明瞭な声でそう告げる。

其の何者かとは霊諍であった。

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