第980話 魔王の威厳

「スターが魔王に協力しているとして、その真偽を確かめる方法は何か無いのでしょうか?勿論スターが私達を裏切っているというつもりはありません。

ですがもし仮にそうであるとするならその事実を把握しておけばよりお互いに動きやすくなるんじゃないかと思うんです」


シレットがそう告げるとコンスタリオは


「其の方法なら無くはないわよ。

というより、今回の一件で魔神族内部でどう動いてくるか、其の結果次第で判明するかも知れないわね」


と意味深な一言を告げる。


「どういう意味なんです?」


シレットがそう問いかけた時、一同はコンスタリオの部屋の前に立っていた。

そしてコンスタリオは扉の取っ手を握りしめると


「ふふ、少しは自分で考えてみるというのも必要でしょう?」


とシレットの質問に対し焦らすような回答をして部屋の中に入っていく。


「あ、一寸、隊長~まあ、そうですけど~」


シレットは明らかに不満げな表情を浮かべ、焦らされたりはぐらかされたといった印象を受ける返答に渋々納得したような表情を浮かべて自分の部屋に戻っていく。


「確かに隊長の言うとおりだな、俺も少し考えてみるか」


それに少し遅れてモイスも部屋の中へと戻っていった。

それと時を同じくして先程エアロタウンを襲撃した部隊を指揮していた指揮官は


「も、申し訳ございません……」


と頭を下げていた。

其の頭の先にはモニター越しに写っている司令官らしき魔神族が見える。

だが其の司令官らしき魔神族も怒っているという雰囲気や表情ではなかった、寧ろ指揮官と同様、或いはそれ以上に恐れをなしているという表情を見せている。

其の視線の先にいる存在、それは天之御であった。

その表情は般若の如く冷たく鋭く、何時も星峰達に見せている表情とは全く違う物であった。


「さっきから聞いているけど、指揮官も映ってくれたことだしもう一度聞かせてもらうよ。

一体今回の事案はどういう経緯で起こったの?

僕に無断で部隊を出撃させただけじゃなく、その部隊でエアロタウンを襲撃しようとした挙げ句、現地の人族部隊に返り討ちにあって貴重な戦力を失い、あろう事か人族の手に落ちた兵士まで出した。

これだけの大失態を引き起こしたのは一体何なの?」


天之御は冷たく重い言葉で司令官と指揮官を問い詰める、その表情と言葉は内心に激しい怒りを抱いている事を伺わせる。


「で、ですから、エアロタウンの内部で不可思議な動きが観測されまして、それを脅威と感じて……」


司令官は天之御に対しそう告げるが、それを聞いた天之御は


「其の観測された動きとは一体何なの?データ位は見せられるでしょう?」


と冷たい言葉で更に迫る。

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