第937話 それぞれの身に迫るもの
「……ねえ、一つ気になる事があるんだけど良いかしら?」
そう告げたのは空狐だが、その口調は何処か改まった印象を受ける。
「構わないけど……何?急に改まって……」
急に改まった口調になった為か、星峰もそんな空この様子に戸惑いを隠せないようだ、この返答のトーンにそれが現れている。
「ブントは自分達の戦力を増強する為に自作自演の襲撃と救済を繰り返しているということなのよね、だとしたらもしかするとコンスタリオ小隊も……」
空狐がそう口にすると天之御は
「こう言いたいんだね、もしかしたらコンスタリオ小隊もブントが行った自作自演の襲撃の関係者なのかも知れないって、だから彼等が軍隊に入隊したきっかけにブントが関わっているんじゃないかって」
と続け、その言葉に空狐は首を縦に振る。
「それは分かりましたが……どうしてそれでさっきみたいにあら給った口調になるのです?そこが私には少し……」
豊雲がそう口にすると空狐は
「……居るのよ、少なくとも一人その形で入隊しコンスタリオ小隊に加わったメンバーがね……だけど今はそのメンバーは……」
と遠慮気味に説明するが、どうも豊雲にはピンときていない様子だ、だがその視線の先が空狐から星峰に変わった瞬間、豊雲もはっとした様子を見せる。
「星峰……もしかして……」
豊雲のその言葉は事態を全て察した事を暗示していた、その時の星峰の顔は明らかに何時もと違う神妙な顔付きをしていたからだ。
「ええ……豊雲、貴方が今考えている通りで恐らくは正解よ、私はブントの起こした自作自演の策略によって軍隊に入っていたの。
それも乗せられていることすら知らないままにね……
もし此処が陥落しなかったら、空狐と入れ替わる事がなかったら天之御の命を狙い、ブントの尖兵となっていたかも知れないわ……そう考えると恐ろしいものがある」
そう語る星峰の声は本当に何時もの様子とは違い、何処か恐れを抱えていることが伺える。
「だとしたら、場合によってはコンスタリオ小隊に危害が及ぶ可能性も考えられるわね……暗殺部隊の事を直接伝える事は出来ないにしても何らかの手は打っておくべきだと思うわ」
岬がそう告げると星峰は
「そうね……コンスタリオ小隊がブントに迫りつつある以上、ブントが追い詰められた結果、暴挙に出る可能性は十二分に考えられるわね、手を討っておいたほうが良いわね」
と納得した表情を浮かべる。
「なら、次に調べるべき所は決まったわね!!」
と、ここに来て空狐がいきなり大声を上げる。
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