第767話 心無き兵士
その不安が裏打ちするのか、兵士達を迎撃する空弧とコンスタリオの攻撃は明らかに普段より怒りを含んでいるように見える。
倒しても倒しても立ちふさがる兵士に空弧は
「くっ、あんた達……一体何の為に戦うのよ!!」
と思わず怒声を上げるが、その言葉は完全に聞こえていない様に無視され、兵士達は尚も特攻に近い行動を仕掛けてくる。
「何の反応もしない……やはりこの兵士達は……」
空弧の言葉に反応しない事でより強い確証を得たのか、涙名の兵士に対する攻撃はより強さを増していく。
こうして兵士達は退けられ、空弧と涙名は要塞にまた一歩近付いていく。
「他のエリアの戦況はどうなっているの?」
「八咫と岬は僕達と同じ、兵士達に足止めされているよ。
星峰と天之御は順調に進めているみたい、だけど二人ともその順調さが逆に罠なんじゃないかって考えてる」
「まあ、それも星峰が考えていた事ではあるけど……もしそれを上回る罠が仕掛けられていたら厄介ね……」
「その点もあるから天之御は豊雲に別動隊の指揮を任せたんだと思う。
万が一にも全滅しない様に」
近付きながら空弧は涙名に他のエリアの戦況を問いかけ、涙名がそれに返答する。
同時刻、要塞の右側より接近する部隊を率いていた岬も又兵士達と交戦していた。
「今の涙名からの連絡……どうやら足止めは上手くいっている様ね。
だけどそれも何時まで持つか……いえ、弱気になっては駄目ね!!」
岬はそう自分に言い聞かせると迫り来る兵士を得意の格闘術で退け、自身が率いている部隊と共に要塞に迫っていく。
その眼前に立ち塞がる兵士は涙名、空弧の迎撃部隊と同じく兵器も確認出来た。
どうやら相当な総力戦を仕掛けてきているようだ。
「さあ、罷り通らせてもらうわよ!!」
岬はそう叫んで気合を入れ直すと部隊を率いて人族部隊に向かっていく。
「足蹴演舞」
そういうとその名の通り華麗な足技で兵士を退けていき、部隊が進む道を作っていく。
一方、左側から要塞に接近している部隊を率いている八咫も又、指揮する部隊と共に立ちふさがる人族部隊と交戦していた。
「こいつら、まるで意思を感じられねえ……やっぱり、そういう事なのかよ……」
八咫も又、この兵士達から何かを感じるとともに強い憤りを覚えている様だ。
「昔も今も、命の価値が分からねえ奴等ってのはいるんだな!!
いや、そいつらが生き残ってきたからこういう事になってんのか……
ええい、もう考えるのは後だ!!」
八咫はそう叫ぶと迷いを吹っ切るかの様に兵士達に向かっていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます