第742話 森林の共闘

一同が人族兵士と会話している間にも兵器の侵攻は進み、人族部隊はさらに劣勢に追いやられていく。


「……分かりました、それだけ聞く事が出来ればもう十分です」


天之御がそう言うと一同は人族部隊と兵器が交戦している場所へと走っていく。


「お、おい、お前等……」


人族の兵士が動揺した声を挙げると同時に一同は戦場へと介入する、その先陣を切ったのは


「孤妖術……黄金の雷電!!」


という声とともに雷撃を放ち兵器に当ててその動きを沈黙させた星峰であった。


「す、凄い雷撃……昨日のあのシレットって子と同じ位凄い……」


その一部始終を見た人族の兵士の一人が思わずそう呟くと星峰は


「貴方達……シレットを知っているの?」


と問いかける。

シレットを知っているのは星峰も当然知っていたのだが、それでも名前を聞いて思わず問いかけてしまったのだ、そんな星峰に兵士は


「あ、ああ……昨日一緒に戦ったからな……って、なんで魔神族がそんな事を聞いてくるんだよ!!」


と軽いノリツッコミのような返答を返すが、その顔は全く笑っていない。

恐らくは機密情報を漏らしてしまった様な焦燥感を抱いたのだろう。

それに対する星峰の


「そう……私もあの子とは色々あるからね、一寸気になっただけよ」


と言うそっけない返答は兵士にとって意外な反応であった。

兵士は機密情報を話した自分を星峰は手にかけようとしてくると本気で思っていたからだ。


「え……それだけ……」


これがこの時兵士が内心で抱いた本心である、この状況にはおよそ似つかわしくない滑稽な感想ではあった。

だがそれも虚しい一時と言わんばかりに兵器は機関銃やビームを撒き散らし、人族部隊や一同を攻撃してくる。


「くっ、こいつら一体何が目的で……」


人族の兵士が尚も立ち向かうが兵器との差は歴然であり、関節を狙っても攻撃はかわされ、逆に反撃されて窮地に陥る。

それでも尚果敢に立ち向かう兵士達だがその果敢さが仇となり一人の兵士が背面を撮られチャージしたビームの餌食になりそうになる。


「くっ、ここまでか……」


人族兵士がそう内心で覚悟を決めたその瞬間岬が兵器に接近しチャージ終了直後の兵器のビーム砲に鉄拳を食らわせて砲台を破壊し、そのエネルギーを逆流させて兵器もそのまま破壊する。


「あきらめるのはまだ早いわよ!!そんな事で本当にこの世界を平和にできると思ってるの?」


岬は敢えて挑発するような口調で人族兵士に話しかける。

すると人族兵士は


「魔神族に助けられた……そうか、そうだな!!」


と何処か決意を新たにしたような口調で話す。

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