第710話 交わりつつある双方

だがその時


「そのお話、私達も参加させてもらって構わないかしら?」


という声と共にコンスタリオ小隊がそこに入ってくる。


「貴方達……何時の間に此処に……」


コンスタリオ小隊が何時の間にか来ていたという事実については一同は全く動揺していない。

岬がこう僅かな疑問を呟いた程度であった。

だがそのコンスタリオ小隊が一同の会話には行ってこようとするというのには流石に動揺の顔を見せている、今回ばかりは天之御といえども例外ではなかった。

直ぐに何時も通りの顔に戻ったかに見えたが、その内心では確実に戸惑いがある。


「彼等が僕達に話をしようとする……その狙いは一体何なの?」


こうコンスタリオ小隊を内心で密かに勘ぐっている事がそれを物語っていた。

そして天之御はそうした自分の行動に若干の自己嫌悪を覚える。

だがその入ってもいいかという問いかけに返答する前に再び何らかの異変が起こる。

施設内部に警報が鳴り始めたからだ。


「又警報が鳴り始めた……何かが来ようとしているの?」


空弧がそう呟くと星峰は


「いいえ、今度は兵士じゃないわ、住民同士が何かトラブルを起こしている様ね」


と冷静に分析する。

星峰のその言葉を受け、一同がタウン全体を見渡せる前方のモニターに目をやるとそこには住民らしき生命の反応がタウン中心部分に集まり、そこで何かをしているという構図が浮かんできた。


「動き回ってその場に倒れている……一体何をしているの?」


シレットがそう口にするとコンスタリオが


「一寸待って……今飛空艇の望遠機能を使って地表を確認してみるから……何なのこれ!?」


と飛空艇の望遠機能で地上で起こっている事を確認するが、その直後普段は殆ど上げる事が無い動じた大声を出してしまう。


「隊長がそんな声を上げるって事は、まさか兵器がまだ……」

「いいえ、そうであるなら反応が必ず感知される筈よ、もし反応を逃れている兵器が居るとしてもそうだとしたら中央エリアより離れるでしょう」


コンスタリオの声から動揺が写ったのか、モイスも思わず良からぬ方向へと試行してしまう、だがそこに割って入った星峰の冷静な発言により明後日の方向に思考が行ってしまう事だけは避ける事が出来た。


「一体何が起こったんです?」


続けて星峰がコンスタリオに対してその動揺の意味を問いかける、するとコンスタリオは


「住民同士が……争っているわ。

其れもかなり激しいレベルでね」


と告げ、手元の端末に映し出されている映像をその場に居る面々に見せる。

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