第597話 ベータタウン調査へ

三者三様に思惑が絡み合う世界、今、戦いは新たな段階へと進みつつあるのかもしれない。魔王軍、コンスタリオ小隊、ブント、それぞれがそう感じつつあった。

翌日、その中からいち早く動いたのはコンスタリオ小隊であった。


「ベータタウンに向かう?」


モイスがコンスタリオにそう尋ねるとコンスタリオは


「ええ、前回アルファタウンを調査した際に明らかに不自然な点を幾つか見つける事が出来た。

管理されている様な住民、不自然な立入禁止区域、もしそれがベータとガンマにも存在しているとしたら……」


と返答する。その先の意図はモイスとシレットも口にせずとも理解していた。

前回のアルファタウン捜索の振り返り時、二人は司令官に対して疑念を抱いたものの、その時はそう疑念を抱く事にも抵抗を覚えていた、だがそれ以降疑念は払拭されるどころか更に強まっており、それをはっきりさせる必要性も又高まっていた。

そんな中でのコンスタリオの提案である、それに反対する理由は何もなかった。


「なら思い立ったが吉日、急ぎましょう!!」


シレットがそう急かすまでもなく、コンスタリオは既に飛空艇を稼働させていた、早速飛空艇に乗り込み、コンスタリオ小隊はベータタウンへと向かう。

ベータタウン付近に着くとそこもアルファタウンと同様、タウンと呼ぶにはこじんまりとした住宅が密集していた。

そんな中に立つ軍事施設は一見すると場違いな程に思える程立派であり、それが更に異質感を漂わせる。


「あの立派な軍事施設……場に不釣り合いとすら言えるな」

「ええ、どうしてあんな物がこんな閑静な街に……それも裏をかいての事なのかしら?」


モイスとコンスタリオも疑問を隠せない様だ、思わず口を突いて出た発言がそれを証明する。


「兎に角、まずは内側に入り込む事でしょう。話はそれからでも遅くはないと思います」


シレットに促され、コンスタリオは飛空艇を近くに降ろして地上に立ち、そのままベータタウンへと近付いていく。

そしてタウン入り口に着くとそこにはただ門があるだけであり、出入りをチェックする見張りは居ない。


「見張りすらいないなんて……ここはそれだけ平穏なの?それともあの施設が番犬なの?」


コンスタリオが内心で疑問を感じるが、シレットとモイスはこれ幸いと言わんばかりに中に入っていく。

そして中に入るとそこにはアルファタウン以上に人影が無い、否人影を見つける事自体が出来ない街中とは思えない異常な空間が広がっていた。

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