第344話 次々と浮かぶ疑念

仮説として想像していた事ではあるが、コンスタリオがそう口にした事で改めてその場に居る全員の顔が険しい物になる。明らかに焦りも見えていた。


「魔神族がこの施設の中に……いえ、この場所の存在を知っているのだとしたら、その目的は……」

「考えるまでも無い事でしょう。ここのデータや兵器の入手、それ以外に考えられません。更にデータを破壊したのだとすれば、既に私達がこの場所に来ている事は知られているとみてまず間違いないでしょう」


険しい顔で低くこもった声を上げるシレットにアンナースの言葉が続く。だがその声に何時もの奇妙なテンションはなく、彼女も又警戒心を抱いているのが伺える。


「他の部隊から連絡がない所を見ると、まだ接触はしていないのでしょう。でも、だとしたら万が一遭遇した場合の危険性は更に高い……」

「少数精鋭でここに来る面々が揃っているって事になるからな……」


コンスタリオとモイスの声も自然と警戒感を抱いた低くこもった声になる。それだけ魔神族がこの場に居ると言う事については慎重にならざるを得ないのであった。


「でも、だからと言ってここでじっとしている訳には行かない。他の部隊に連絡を入れ次第、更に調査を進めるわよ」


コンスタリオがそう告げると他の面々も黙って頷き、一同は立ち上がってその部屋から外に出ていく。だが部屋から外に出た瞬間、又しても待ち構えていた兵器から攻撃を受ける。


「この部屋を見た者を生かしては置けない」


兵器はまたしても明瞭な言語を発し、そのまま一同に攻撃を仕掛けてくる。それを躱したシレットが雷撃の球を飛ばし、本体に直撃させて動きを停止させる。


「又明確な言語を発した……一体この兵器は何なの?」


コンスタリオの内心の疑念は更に膨らむが、それを気にしている余裕等なかった。それと同時に別の部隊から通信が届き


「兵器と交戦中……ああっ!!」


という絶叫が聞こえてきたからだ。

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