第285話 純黒の消滅
先に進んで行った一同はそこで何かの製造工場の様な広い空間に出る。その中には大型且つ多数の機械幾つも置かれており、それらが一斉に動作する事で何かを建造しているのは明白であった。そしてそれが何なのか、一同には容易に想像がついた。
「この空間、それにこの広さと機械……どうやらここで作り出されている様ですね」
次の瞬間、空弧が作り出されているといった物、この地下を走っている列車が一同の目の前に現れる。
「ここで製造し外に送り出していたという訳か、そして今目の前に居る。となると少なくともある程度生産されているというのは間違いなさそうだね」
天之御がそう話すと同時に列車の扉が開き、中から何者かが降りてこようとする。だがその直前に天之御は
「魔王妖術……純黒の消滅!!」
と言って列車の近くに黒い渦巻を発生させ、その中に列車から降りてこようとした存在を吸い込み、その場から消滅させる。
「彼等にしてあげられる事、それはせめて、苦しまずに楽にしてあげる事だけだ。分かってはいるけど辛いね……」
天之御がそう語ると他の面々もただ黙って頷く、魔王の発言であるので頷いている訳ではない。他に適切な言葉、返答が見つからなかったが故に頷くしかなかったのである。そんな自分達に少しの不甲斐無さを抱き、同時にブントへの怒りを少しずつではあるが蓄積させつつ、一同は目の前に現れた列車に乗り込む。
「基本的な構造は先程の列車と同じですが、これは少し軽量化を図り、移動速度を向上させている様ですね。半面守りは脆くなっていますが」
中に入った後、星峰がその構造を分析するとそれに対し
「つまり、列車にはいくつかバリエーションが存在しているって事か?」
「ええ、恐らく雛型となるタイプを一つ建造し、それをベースに揺らぎを含ませる形で他のタイプを建造しているのだと思う。まあ、どんなタイプがあるのかはデータでも探さない事には断定は出来ないけど」
「そのデータがあるとすれば、恐らくこの建物の中だろうね」
八咫からの質問が入り、それに返答する星峰と続く天之御、彼らが次にとる行動は既に決定していた。一同は列車から降り、その足で建物へと戻って更なる調査を続けていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます