第262話 錯綜する思惑
部屋に戻ったコンスタリオが設置されている通信端末を起動するとそこには一通のファイルが送られてきていた。それは先程アンナースが言っていた先史遺産と魔神族の関連資料だった。それを確認するとコンスタリオは早速目を通す。
「……成程、確かにこの大陸においては他の大陸より魔神族の行動に乱れが確認出来るわね。となるとあれも関係あるのかしら?」
そう呟くコンスタリオの脳裏には何かが浮かんでいた。コンスタリオの言う何か、それを示しているのか否かは不明だがその視線の先はこれまでの魔神族との戦いの資料に向けられていた。同じ資料を受け取っていたモイスとシレットも
「これが先史遺産を巡る争奪戦って訳ね」
「今後の戦いの行方はこれにも左右されるって訳か、なら負ける訳には行かねえな」
とそれぞれ気持ちを新たにはするものの、コンスタリオの様に違和感を覚える程ではない様だ。
同時刻、ブエルスにおいて
「先史遺産の兵器が西大陸に!?」
と空弧が大きな声を上げていた。
「うん、数時間前に西大陸の人族協力者から連絡があった。例の建設地点からほど近いオアシスに先史遺産の兵器が多数出現、人族部隊がそれと交戦、回収したと」
そう語る天之御の顔は明らかに何時もより険しさがあった、そしてその隣にいる星峰の顔も同じく険しさがある。
「しかし、これまでそのオアシスで先史遺産関連の動きがあったとは聞いた事がありませんが何故今になって……」
定期報告の為、ワンカーポから一時的に戻って来ていた豊雲がそう問いかけると天之御は
「今まで気付けなかったんじゃなく、気付かなかったんだよ。何しろ問題のオアシスの周辺は人族も魔神族もブント側で固められてる。今回の情報だってオアシスの交戦という形で外部に流れた情報を協力者が入手してくれたから届いたんだ」
と言う。その言葉にはこれまであのオアシスにおける情報がブントに握り潰されていた事を暗に示していた。
「それに……問題はそこだけじゃない」
続けて天之御はそういうと星峰の顔を見る
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