第156話 収穫と活躍と
「打開策と言えるかどうかは分からない。でも星峰の予測通り、ブントがあの宙域に密集していた事には理由があった。そして、それを抑える事も」
星峰の発言に回答しているのか、していないのかどことなく曖昧な返答をする八咫、だがその顔には何かの確証が見られ、星峰もどことなく納得した表情を浮かべる。
「と言う事は、やっぱりあったのね」
「ええ、あったわ。先史遺産の遺跡が!!」
星峰課r尚更なる問いかけに明瞭な返答をする空弧、そう、彼等は星峰がブント同士の交戦を監視している間、その近辺を調査し先史遺産の遺跡を発見していた。当然すぐさま内部を調査し、その中にある技術を回収、解析に回していた。
「あの近辺で魔神族が何度も出撃命令を仰いでくる筈だよ。恐らくブントは遺跡があの辺りにある事までは掴んでいたんだ。そしてそれを手中に収める為にあの辺りを埋め尽くそうとした」
天之御がどこか納得した声でそう話し、同時に何処か呆れた表情を見せる。
「あの近辺は湿原が多く、特に水の中に入ってしまうと中々調査がやりにくいですからね。それ故戦争の開戦当時も地の利の面から殆ど戦場にならないまま二分された。と言っても実際はブントの独善場になってしまった訳ですが」
岬が解説を入れる。星峰がこの事については知らないのではないかと思ったが故だ。それに続けて
「その話については僕も隊の兵士から聞いた事があります。結局地の利を味方につけるか否かの点から膠着状態が続いていたと。まあ、実際はブント同士の猿芝居に過ぎなかった訳ですけど」
と涙名も話す。それを聞いた星峰は
「ブントの猿芝居は分かったけど……、そろそろ先史遺産の話に戻してもいいかしら?」
と遠回しではあるが話が脱線してきている事を指摘する。それを聞いた天之御は
「そうだね、話を戻そうか。今回調査した遺跡からは自然現象を制御する技術が発見されたよ」
と告げる。
「自然現象を制御?魔術や妖術の様にって事?」
星峰がそう問いかけると涙名が
「うん。恐らくは魔術や妖術を機械で疑似的に再現する為だと思う。兵器は勿論の事、本来あまり素養が無くてもこの技術を用いれば上位術と同じ力が使える。かなりの力になり得ると思う」
と続ける。
「それはブントが欲しがる筈ね。最も技術まで知って狙っていたのかどうかは分からないけど」
空弧はそう言い切る。その直後天之御は
「兎に角、今日は星峰のお陰で色んな情報を入手出来た。ワンカーポの攻略事案も含め、一度検討する時間が必要だから解散しよう」
と言い、その場を解散させる。そしてそれぞれのメンバーはそれぞれの部屋に戻っていく。自室に戻り、何時もの様にシャワーを浴びる星峰。その最中に
「私のお陰……か。人族時代から気になっていた事がここに来て役に立つなんて皮肉ね」
とふと呟くのであった。
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