第123話 遺産眠る遺跡

「それは?」


その装置に気付いた星峰が岬に質問すると岬は


「これ?先史遺産の反応をキャッチする装置よ。どうやら先史遺産は何か特殊な波長を出してるみたいでそれを感知することである程度探索範囲を絞り込めるの。

流石に手当たり次第捜索するわけにはいかないからね」


と装置について説明する。


「成程、創作手段は確立されてるって訳ね。でも、その事をブントは…」


質問の答えに納得はしたものの、同時にある不安が頭をよぎった星峰。そしてその不安は


「知られているよ。というより、この発見自体はブントの方が先で父が魔王という立場の元、その提出を迫ったという方が正確な表現になる」


という天之御の言葉で早々に的中している事を知る事となる。


「先代の魔王が提出を迫った…」


だが星峰の脳裏に残ったのは予感が的中した事よりも寧ろその一文であった。


「気になるのは分かるけど、取り敢えず話は移動しながらでいいかな?こうしている時間そのものも惜しいから」


天之御はそう告げると一行に移動を促し、反応のある方へと向けて足を動かし始める。その途中


「父はブントの息がかかった部隊の動向には常に目を光らせていた。でも先史遺産については知らなかった。だけどある時、ブントの部隊が謎の技術を手にしたという情報を手に入れたんだ」

「それが…先史遺産」

「そう、最初に先史遺産が発見されたのが丁度涙名君が生まれた頃だった。だからよく覚えてる。そしてその発見で先史遺産の危険性、発見方法が確立された事を危機と感じた父はブントの部隊をその担当から外そうとしたのだけど…」

「けど…と言う事は外せなかったんだね」

「うん。ブントの部隊が発見の功績を盾にとってきてね。更にその後、その技術を用いて人族部隊の拠点を次々に攻略した事で魔王としては強引に事を進める事は出来なかった。だからその捜索技術を他の部隊にも提供させ、ブントの独占を阻止するのが精一杯の抵抗だったんだ」


天之御は星峰と涙名に余すところなくブントと先史遺産の関係を話す。そしてその話が終わった頃、一行は反応があった目的地に到着していた。だがそこも辺り一面の砂であり、特にめぼしい何かは見当たらない。


「反応があったのはここなんですけど…」


岬が困り顔で言うと八咫は


「地上は砂だらけか…となると考えられるのは…地下か」


と続け、それを聞いた天之御は


「魔王秘術…貫きの暴風!!」


と言い、とてつもなく巨大な竜巻を発生させ周囲の砂を巻き上げる。すると巻き上げられた砂の下に岩盤が見つかり、風がその一部に穴を開けると中には空洞が広がっていた。


「皆、早くあの中に!!」


その言葉に一行は走り、その穴に飛び込む。最後に飛び込んだ天之御は


「魔王術…回帰の循環!!」


というと穴の部分を妖術で包み込み、その穴を塞いで元通りに修復する。そしてそのまま遺跡に降り立つとそこは一つの建物ではなく、明らかに嘗て町だったと思える幾つもの建物が広がっていた。

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