第111話 それぞれの心に宿るもの
その口は更に留まる事を知らず、そのまま現時点での計画を説明する。それを聞いた天之御は
「・・・確かに、それが一番確実な手かもしれないな」
と告げ、星峰も
「ええ、彼女であればやってくれるでしょう」
とそれに続く。すると空弧は顔を緩め、包み隠さずに笑顔を出す。
「作戦を認められた事がそんなに嬉しいのか?」
その笑顔は八咫が思わず聞いてしまう程であった。そこを聞かれたくなかったのか
「え、ええ・・・まあね」
と空弧は思わず照れ隠しをした様な少したどたどしい返しをする。だが彼女が顔を緩めたのはそれだけではなかった。作戦が評価されたことは勿論だが、それ以上にシレットの嘗ての仲間であり、自身が体を奪った星峰が自身の作戦に同意してくれたことが嬉しかったのだ。無論、そんな事とは知る由もない星峰は空弧の笑顔の理由を気にしつつも紅茶を口に運ぶ。
一方、その捕らわれのシレットは目を覚まし、上の空の様な声を上げ乍ら周囲を見渡す。周囲の環境、そして足に繋がれた鎖を見て直ぐに地震の置かれている立場は悟る。
「足が・・・くっ・・・ここはブエルスの地下牢じゃない、だとすると一体何処なの・・・」
自分が捕らわれている事は察したがそれ以外の、特に今どこに居るのかという点に関してはまるで分らない。そんな状況に焦りと絶望をシレットは抱いてしまう。同じ頃、キャベルにおいてもコンスタリオとモイスがミーティングルームで苛立ちを募らせていた。
「くそっ、スターに続いてシレットまで・・・イラついても仕方ねえのは分かってるけどよ・・・」
分かっていても抑えられない、そんな自分自身にも苛立ちを募らせるモイス、そんなモイスを見てコンスタリオも
「ええ、しかも奪還にまたしても失敗したという汚点も生じた。これで今後の戦況はさらに悪化するのは避けられない・・・」
と今後の展望が決して明るくない.という現実を改めて思い知らされる。一方で
「やはりここ数回の魔神族の動きは明らかに依然と異なっている・・・上層部の総入れ替えでも行ったの?」
と魔神族に対する疑問を更に強めもする。
「ねえ、モイス。私達はこれからどうするべきだと思う?」
その質問を聞いたモイスは怪訝な表情をコンスタリオに向ける。
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