第100話 三ツ川山の再戦

「三ツ川山を陥落させる訳には行きません。私達も向かいましょう」


岬と空弧が声を揃えて天之御に進言すると天之御も


「そうだね、これは見逃す訳には行かない。場合によっては僕も出撃するよ」


と言い、出撃体制を取ろうとする。だがそんな中星峰はただ一人、じっと移動車の反応が表示され続けている地図を眺めていた。それから一時間後、人族部隊の移動車はスリーリバーマウンテン麓の街をその索敵エリア内に捉えていた。当然その前には魔神族の部隊がバリケードのごとく並んでおり、そう簡単には突破出来そうにもない。


「来ましたね・・・」


魔神族の先陣に立っている星峰が凛々しい顔でそう呟くと


「ああ、俺が以前確認した前回の進撃部隊の数とは桁が違う。これは本当に・・・」


と八咫も続ける。対峙する両軍の間を静かに風が吹き、その場にある草を揺らす。そしてその風がだんだん強くなっていくと同時に移動車が砲弾を放つ。


「黒羽の破魔矢!!」


それを見た八咫はそう叫ぶと羽から鋭い矢を放って放たれた砲弾を串刺しにして暴発させ、自軍に被害が出るのを防ぐ。それを合図にしたかのように双方の部隊は武器を構え、交戦状態へと突入する。


「狐妖術、白銀の五月雨!!」


星峰はそう叫ぶと人族部隊に氷柱を放ち、それで足を貫いて動きを封じつつ接近し手にした剣で人族部隊を切り倒していく。魔神族の兵士もそれに続き、迫ってくる人族部隊を連携やピンポイントの急所狙いで倒していく。だが人族部隊もただではやられない。そこを別の兵士が強襲したり兵器を囮に使う等していき、混戦は混沌を極めていく。


「おい、やっぱりこれは・・・おかしいぜ!!」

「分かってる。彼らが居ないとなるとやはりこれは・・・」


混戦になり、ある程度双方の戦力が減少してきた所で八咫と星峰が何かに気付く。そう、交戦している部隊の中にコンスタリオ小隊が居なかったのだ。


「と言う事はやはり・・・」


星峰の内心に嫌な予感がよぎる。

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