第70話 四人の力

魔神族の先陣を切ったの岬は


「切り開く、露払いの刃!!」


と叫ぶと同時に腕から目に見えない刃を放ち、人族部隊の兵士を装備を切り裂く。そのまま人族部隊の陣営に乗り込み、素早い動きで攪乱しつつ格闘戦に持ち込んで次々と意識を失わせる。だが人族兵士の一人が広域兵器を起動させようとする。


「そうはさせません!!先導の槍」


それに気づいた岬は素早く槍を出現させて兵器の一部を貫く。だが兵器その者は爆発も何もしない。起動させようとしてもしない兵器に焦る兵士に岬は無言で腹蹴りを喰らわせ、その場に膝をつかせる。


「彼女は格闘系なのね」

「ええ、岬は特に一点突破や先陣に向いた能力になっているわ。あの格闘術を生かして切り込むのが主な戦い方」


後を追いながら岬の戦い方を分析する星峰と解説する空弧、こんな状況でなければのんびり話し込みそうな印象である。そうした空気を察したのか八咫は


「二人とも、口を動かしてもいいが敵に接近するのを忘れるなよ」


と発破をかけるような言葉をかけ、二人は黙って頷く。それが叱咤であるとわかっていたからだ。そういった後八咫は岬とは別の集団に空から


「黒羽吹雪!!」


と言って黒羽を文字通り吹雪の様に飛ばし、その羽を突き刺して兵士達を体に突き刺し気を失わせる。更に続けて


「凶兆の黒点」


と言い、手から黒い球を次々と放って羽を躱した人族兵士を攻撃する。


「八咫は岬とは対照的に射撃系ね」

「ええ、狙い撃ちも乱れ撃ちもやるわ・・・愈々来るわ、嘗ての貴方の力、使わせてもらいます」

「こちらこそね、空弧」


二人が言葉を並べて告げた直後、人族部隊の集団と交戦を開始する。空弧は接近して剣を振り、人族兵士の武装を次々と切り落とすが剣術の隙を突こうとした兵士に背後に立たれる。だが直後


「アース・バウンド!!」


と言い、地面を盛り上がらせる魔法で兵士を攻撃する。


「ふう、魔術系統はやっぱり得意なんだけど、剣術はまだまだ鍛錬が必要ね」


背後に立った兵士を退けると空弧はやれやれと言った表情で額を腕で拭く。


一方星峰は


「狐妖術・・・銀の氷雨!!」


と言って銀色の小さな氷柱を飛ばして兵士に当てようとするが兵士は星峰の正面を避ける事で氷柱を回避する。だがそれを確認した星峰は氷柱を一方に向け、もう一方の懐に飛び込んで剣で装備している物を破壊していく。一方の破壊を終えるともう一方に飛び込み、同じく破壊する。全て破壊し終えると


「ふう、剣術はこれまで通り・・・いや体格の違いからこれまで以上にやりやすいけど妖術は訓練が必要ね」


そう告げて剣を懐にしまう。それと同時に人族部を魔神族の部隊が次々と拘束していき、僅か十分も立たない内に戦場は魔神族の勝利で終わる。

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