第51話 その結末は最悪

一方、人族と魔神族の侵攻部隊の激突は人族の圧倒的優位に流れつつあった。魔神族の部隊数も既に開戦直後の三分の一以下まで減少し、このまま行けば勝利は確実と誰もが思える、そんな状況であった。


「やはり可笑しい・・・あまりにもお粗末すぎる・・・」


だが、それ故にコンスタリオが感じる不安と違和感は更に大きくなっていき、次第に目を背けられなくなっていく。


「何なの、この嫌な予感、胸騒ぎは・・・」


その答えを見つけ、又安心する為にも素早く敵を倒さなければならない、そう自分に言い聞かせ、戦場を動くコンスタリオ、その動きの不自然さに気付いたのかモイスとシレットも次第に焦りを見せ始める。


「隊長のあの様子・・・ただ事じゃねえぞ、一体何を感じてるんだ・・・」

「ええ、それを確認する為にも早く・・・」


そう言いかけたその時、後方に待機していた移動車より激しく大きな警報音が鳴り始める。


「この音は・・・緊急事態宣言!?しかも一番大きなグレードの・・・」


音を聞いたシレットが困惑した顔で移動車の方を向くとその方向から兵士長の声が聞こえてくる。その内容は


「・・・総員、非常事態が・・・いやそれ以上の事態が発生した・・・たった今、ブエルスの城が、敷いてはブエルスそのものが魔神族に制圧されたと連絡があった・」


というその場に居た誰もが耳を疑うものであった。


「ブエルスが制圧された!?どういう事なんですか!?」


困惑するシレットの声が響くと同時に


「潜入していた幹部の手引きで街中に魔神族が潜入、そのまま制圧を許したと言う事だ・・・」


と兵士長の力なき声が響く。


「くそっ、こいつらは囮だったって事かよ、それに幹部の手引きってことはスターも・・・」

「そ、そんな・・・」


悔しさと悲しさを顔に浮かばせるモイスとシレット。そこに兵士長は


「我々は城からの最後の指示に従い、正面の魔神族を突破し南の都市キャンルに移動する!!そこで奪還作戦のための準備を整える!!この指示に異議は認めん!!」


と続ける。それを聞いたコンスタリオは


「・・・了解!!」


と顔を改めて魔神族と戦う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る