第22話 ボーデン・タウンの戦い(前編)
ボーデン・タウンに向かって進撃する部隊、タウンでそれを見た魔神族は
「た、隊長!!人族の大部隊がこちらに接近しています!!」
「狼狽えるな、先日の失敗で戦力は減少したとはいえ、まだこちらには人質として使用可能な民間がある。そいつらを一か所に集めるまでの間を迎撃部隊に稼がせろ」
そう言って部隊を差し向けてくる。そのまま両軍の部隊は接近し、交戦まであと少しの距離となった時
「サンダー・ウェーブ!!」
という声と共にシレットをはじめとする人族部隊の魔導士が一斉に雷を波状に放ち、草の生い茂る草原の上を風と共に走る雷は迫っていた魔神族を攻撃する。たった一度の攻撃だが、それでも魔神族の前衛を崩す事に成功する。
「魔法部隊に続け!!」
兵士長の激を受けた人族部隊は前衛が崩れた魔神族に接近し、銃、剣、槍、格闘術とそれぞれの得意分野で次々と魔神族の兵士を倒していく。
「隊長、迎撃部隊が次々と倒されています。このままでは・・・」
「ええい、民間はまだ利用できんのか!!」
「それが・・・先程から民間の姿が見当たらず・・・恐らくはどこかに隠れたものかと!!」
「おのれ・・・ええい、このままでは昨日に続き!!」
部下からの報告を受けた隊長はその内容に苛立ち、椅子を手で叩く。
「思えばあの魔王の指示に従うようになってから・・・いやあの青二才が魔王になってから昨日の事と言い碌な事が無い・・・やはり青二才に魔王は向いていないのではないか!!」
苛立ちは口にも表れる。その言葉の内容は魔王に対する物とはとても思えない汚い物であった。
「こうなればあれを向かわせる、直ちに準備をしろ!!」
「あれを・・・ですか?しかし・・・」
「このまま無抵抗で陥落させられれば同じ事だ!!ならば少しでも早く出して此方が撤退する時間を稼ぐ!!」
隊長という存在の小物ぶりが見ていてわかるような口調だった。その口調に一瞬指令室の空気も変わる、だが
「・・・分かりました」
仕方なくという雰囲気を出しつつも兵士は隊長の指示に従い何かのスイッチを押す。
それと時を同じくして
「上空部隊より通達、タウン内に例の大型兵士の出現が確認された、警戒せよ!!」
という兵士長からの警告が入る。
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