第8話 コンスタリオ小隊の休日
「ここは今日も平穏だな~こうした所に居ると戦争中って事も忘れそうだ」
「一寸モイス、忘れないでよ!!」
シレットは諭すがモイスがそう呟くのも無理は無かった。イージスの都市と呼ばれる程に強固な防衛が行われているブエルスでは侵攻を受けた時にさえ、住民が商売に精を出している事もある。最もそれは兵士に物資を提供するという側面もあるのだが。そんな塩梅であるのだから平時ともなれば人の行き来で賑わい、年のあちらこちらで商売が繁盛していた。ブエルスに居住地を移転してくる人族には単に安全を求めてくるだけでなく、こうした繁盛を期待しての人物も含まれていた。
「今日は休日だから街に出てみたけど、相変わらずどこも繁盛してるわね。物資の行き来も昔に比べて随分活発になっているし」
元々人族の物資は馬車等を用いて運ばれていた。だが数年前より魔道機械と言う魔力を用いて動かす機械が世に現れ初め、それを用いた運搬が瞬く間に主流になりつつあった。だがこの魔道機械が元々は有事の際の迅速な戦力移動の為に用いられており、商売への転用はその副産物でしかない事も人々は知っていた。
「その活発の根本にある物を考えると素直には喜べないな」
「もう、何時も何時もスターはそうやって水を差す!!」
「・・・すまない」
スターの発言に起こるシレット、流石にスターも察したのか直ぐに謝意を述べる。その時
「や、止めて下さい!!これは・・・」
と言う男性の声が聞こえてくる。
「今の声・・・」
「こっちの方から聞こえたよ!!」
スターとシレットが声に反応すると四人は直ちに声がした方へと向かう。声がした路地裏に行くとそこには貧しそうな男性から同じく貧しそうな女性が集団で追剥をしようとしていた。
「そこで何をしている!!」
コンスタリオがそう声を上げると
「ちっ、軍隊か!!」
と言って集団の女性はその場から逃げようとするがシレットとコンスタリオがその後を追い女の腹に打撃を入れてその場に崩れ落ちさせる。
「大丈夫ですか?」
絡まれていた男性に聞くモイス、男性は
「は・・・はい、ありがとうございます」
と言いながら直立し服についていた砂を祓う。そこに男性を気遣っている間にシレットが連絡していた治安維持隊が到着し、女達は喚き乍ら連行されていく。その喚きは当然、その場にいた誰も興味を示す筈もない。
「せっかくの休日に・・・災難でしたね」
治安維持隊の一人がそう声をかけると
「いえ、災難なのはむしろこの男性です。一体何があったんです?」
とスターは男性に話を促す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます