第400話 法を歪めない

「あうっ!」


ペチッ!


「おうっ!」


ペチッ!


「のうっ!」


ペチッ!


 その夜、捕らえられた郝萌は鞭打ちの拷問にかけられていた。

 歯を食いしばり、必死に耐えていた彼であったが、もはや逃れられぬと悟ったのか、ついに、


「何でも話すからもう止めてくり~~。」


 と、音を上げてしまった。


 そんでもって、劉備の前へ連れて行かれた郝萌は、洗いざらい全てを自白した。


(・・・・・・)


 話を聞いた劉備は即断し、曹操に書面をしたためた。



「――――いかん。」


 劉備からの書を受け取った曹操は眉をひそめた。

 恐るべき・・・彼が最も恐れていた無謀を呂布が起こしたのである。

 彼は直ぐに諸将を集め、


「我々の任は、今や重い。」


「窮を脱する呂布が通る道は、ここを置いて他になし。この淮南への正路を通過させてはならぬ。」


「怠る者は軍法に照らし、必ず断罪に処すぞ。」


 と、再度、厳重にい渡した。


『王法ニ親ナシ』


※国家の法は親疎しんその区別なく行われること。


 この言葉が書かれた立札が陣中に上げられと、将兵たちはその言葉の意味の重さに身が震えた。


 将兵たちは命を奉じて、これからは昼夜を問わずに、「甲冑を脱ぐまい!」という覚悟で、警護の任を勤め始めたのであった。

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