第371話 動ける時に動くこと

 場面変換しちゃいます。


 許都にて。

 劉備からの使者は、早くも許都に着き、曹操に救援の書簡を渡していた。


「むむむ・・・これは一大事!すぐに諸将を集めよ!!」


 書を読んだ曹操は、直ちに諸大将を相府に呼び寄せ、大会議を開いた。


「劉備を見殺しにするのは私の信義に反する。――すぐにでも救援に向かうべきと思うが、皆はどう思う?」


 この曹操の問いに、荀攸じゅんゆうが起立して答えた。


出師すいし(=出兵)のご発議、私は賛成にございます。」


「劉表、張繍は先の戦の影響で軽々しくは動けませぬ。袁紹もまた、北平の公孫瓚との争いのため、許都への侵攻は不可能にございます。」


「つまり、今は東の袁術を除く三方に許都を脅かす敵はおらず、自由に動ける唯一の時。」


「この機に呂布を討ち、袁術と呂布の関係を絶てば、将来の大患を除くことになります。」


「『勢いはまだ小なる内に。』」


「よろしくわざわいの根を断つことこそ急務と思われます。」


 荀攸の言葉に、諸将は皆頷き、彼の答えに賛成の意を唱え始めた。


 決議は決まった。


 曹操は右手を軽く上げ、


「荀攸の言に、満座で異議はないか?」


 と言った。

 異口同音に、


「「ありません。」」


 と諸大将は、全て起立して、賛意を示した。


「よし!・・・では、夏候惇かこうとん呂虔りょけん李典りてんの二名と精兵五万を連れ、先鋒として劉備の救援に向かえ!」


「はっ!」


「他の者たちもすぐに戦の準備に取りかかるのだ!!」


「「はっ!」」


 こうして、曹操は劉備の危機を救うべく、大軍をもって、徐州の城へと進行を開始したのであった。

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