第242話 自然の流れを見極める

 董昭を見送った後、天文官が曹操の元に訪れ、彼に天文で見たことを告げた。


「昨年より・・・昨年より・・・えっと・・・その・・・あれ?何だっけ?・・・???・・・そ、そうそう!アレですよ!アレ!昨年より太白星たいはくせい(=金星)が天の河をつらぬき、熒星けいせい(=火星)の運行もそれに向かい、両星が出会おうとしております!」


「こんなことは極まれも極まれ!これは・・・十年?・・・いや、百年?・・・違う違う!千年です!千年に一度の出来事です!超珍しい出来事です!」


「金火の両星が、

 『どうもどうも、火星さん。お久しぶりです。わたくし、金星と申しますけども・・・私の事覚えてらっしゃいますか?』

 『ええ、もちろんですとも。いや~懐かしい。千年ぶりですかね?今年もどうぞ、よろしくお願いします。』

 と、交会きょうかいすれば、新たな天子が出現すると言われています。」


「これはすなわち、大漢の帝系が終わらんとする気運ではないかと思われます。」


「そして、新しい天子は晋魏しんぎの地方に興る兆しがございます。」


「・・・以上が、私が天文を見た結果となります。ご清聴ありがとうございました。テヘペロ。」


 天文官のお告げを聞いた曹操は、


「・・・うむ。あいわかった。よくぞ教えてくれた。下がってよいぞ。」


 と天文官に礼を述べ、彼をその場から下がらせた。


 その後、曹操と彼の傍にいた荀彧は、言葉を発することなく、各々で考えをまとめた。

 そして、考えがまとまった曹操は荀彧に問いかけた。


「・・・今の話、お前はどう思う?」


「天の声にございましょう。漢室は元来、火性の家。将軍の家は土性の家です。先程、董昭が勧めておりました『許昌』の方位は土性の地ですので、許昌に都を移せば曹家は増々栄えるに違いありませぬ。」


「うむ。私も同じ考えである。・・・明日にでも帝に奏上するとしよう。」


 荀彧の考えを聞き、自身の考えに間違いがないと悟った曹操は、明くる日、天子へ遷都の件を奏上したのであった。


※二人の会話の意味が良くわからんと思った読者の皆様・・・正解です。

 『五行思想ごぎょうしそう』という古代中国の自然哲学の思想に基づくと、国家は(木→火→土→金→水)の順で移り変わると考えられていました。

 この国家の交代を説明した理論を『易姓革命えきせいかくめい』と言うそうです。

 この理論を知っていた曹操と荀彧の二人は、漢(火)→曹(土)に国家交代すると思ったわけです。

 

※・・・正直、上記の解説は自信がありません。

 ネットで適当に調べた情報を基に書いただけなので当然なのですが・・・。

 ですので、解説を鵜呑みにせず、自分でちゃんと調べた方が良いでしょう。

 以上が作者の言い訳でした。

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