第158話 約束は守ろう
「来た来た来た来たーーーーっ!呂布が来ましたよ!王允様!!」
見張りの門番は門の中にいる王允に、呂布が向かってきていることを告げた。
それを聞いた王允は、「時は来た!それだけだ...」と気合を入れ直し、門を睨みつけた。
瞬間、門がギギギギッ!という音と共に開かれた。
「王允!どこだ!八つ裂きにしてやるから出て来いや!!」
「ひぇっ!? りょ、りょりょりょりょりょ呂布将軍。こ、こここここここにございます。」
凄まじい剣幕にて姿を現した呂布。
その姿を見た王允は、先ほどの心構えは何処へやら、ガタガタと震えながら呂布の言葉に応えた。
呂布は下馬するとすぐに王允の元に近づき、彼の胸倉を掴んだ。
「この狸おやじがっ!!残り少ない髪を引き千切ってリアル狸ヘアーにしてやろうか!!おおんっ!!」
「ど、どどどどどうなさいましたか将軍様?」
「ああんっ!? 貴様、しらばっくれるつもりか!!」
「な、なななな何のことやらサッパリですな?」
王允は震えながらもしらばっくれる姿勢を取った。
そんな王允の態度に、呂布は声を荒げて約束の件を問いつめた。
「ほほう、いい度胸だな。・・・いいだろう!教えてやる!先ほど俺の元に董卓太師の使いの者が来てな!お前が董卓太師に貂蝉を渡したとぬかしおった!!」
「貴様は先日、『吉日を選んで、貂蝉を将軍の家に送り届けますぅ。』と約束したではないか!約束はどうした!約束は!!」
「俺をからかうとどうなるか見せてやろうか!おおんっ!!ああんっ!!ちょわん!!」
呂布は問い詰めると同時に王允を放り投げ、門の壁に叩きつけた。
「グホァ!!」
背中を壁に叩きつけられ王允はうめき声を上げたが、彼はすぐに体勢を立て直した。
そして流れるような動作で膝をつき、腰を曲げ、指先を揃えて地面に両手をつけ、服従の姿勢を取った。
王允は呂布から暴行を受けることを想定して、彼が屋敷に来る前に準備運動をしていたのだ。
そのおかげで、彼はスムーズに服従の姿勢を取ることが出来たのであった。
「しょ、将軍様。お、落ち着いて下さい。それには深~い訳があるのです。」
「ほほう。なるほど、言い訳か・・・それでは聞きますまい。」
「では話させて頂きます。」
王允は暴れる狂狼を前に、言い訳を述べ始めたのであった。
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