第98話 槍でやり直そう
「呂布の首の値打ちも落ちたモノよのう。」
「そうですな。張飛?や関羽?とやらの足軽に逃げるようでは奴の首の価値など皆無でしょう。」
「そうであろう、そうであろう。」
「「わーははははは!!」」
袁紹筆頭に諸侯一同が宴会場にて虎牢関での戦果を喜んでいた。
しかし彼らの喜びも、とある人物の登場により一変することになる。
袁紹が杯に酒を注ぎ、再度喜びの口述を述べようとした時、傷だらけの武将が宴の席に現れた。
その武将は汜水関にて先陣を務めた孫堅であった。
孫堅は殺気を漲らせ、返答次第では腰に差した剣で袁紹を殺さんとしていた。
「袁紹・・・貴様ふざけるなよ。」
突如宴席に現れた孫堅に戸惑う袁紹。
袁紹は冷や汗全開、震える声で孫堅の話に応じた。
「や、やあ孫堅君。無事で何よりであった。君を心配していたのだぞ。」
「無事で何よりだと?・・・貴様死にたいのか?」
袁紹の素知らぬ返答に対して孫堅が剣を抜こうとしたので、袁紹は肝を冷やした。
(やばい!やばい!やばい!マジ切れしてんじゃんコイツ!!)
怒る孫堅に袁紹は優しくソフトに丁寧に、孫堅をはぐらかそうとした。
「孫堅君・・・どうして・・・」
「兵糧を送らなかったことで、仲間が死んだからだよ。結果、敗れたからね。だからその訳を知りたい。董卓に恨みは無い、俺にとってはね。今回の檄、それは天下のためという唯一の絶対的約束のはずだ。」
「何を・・・孫堅君、君が何を言っているのか分かんないよ・・・孫堅君。」
「遺憾だよ。さあ、俺に兵糧の件の言い訳をしてくれ。そうしなければ、君は死ぬことになる。滅びの時を逃れ、未来を与えられる生命体になるには正しい選択肢をするしかない。」
孫堅という人物は気が短い、そして荒々しい南方の生まれである。
孫堅の凄まじい剣幕に、袁紹は足元から100万匹の蟻が這い上がる感覚に見舞われた。
「ま、待ってくれ!それは私のせいじゃない!原因を作った男を連れてくるから怒りを静めてくれ!」
袁紹はそう言って逃げるように宴会場から離れ、兵糧止めを進言した男を連れて来た。
「孫堅君。この男が君を陥れたんだ!この男を殺すから許してくれっ!」
「袁紹君、やめてよ!どうしてだよ!!」
「ええい!黙れ!大人しく死ね!!」
その袁紹の声に合わせて袁紹の家臣は槍にて男を刺し殺した。
「孫堅君・・・これで許してくれ。また関係をやり直そう。」
槍で関係をやり直そうとした袁紹の言葉に孫堅は無言で苦笑いをして、彼は自陣へと帰って行ったのであった。
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