忘却の砂

忘却

 砂が落ちてくる。

 それを見上げる。

 砂が落ちてくる。

 足元に溜まる砂。


 さらさらと小さな音で小さな流れで砂が落ちてくる。


 光は射しこまない。

 暗く涼やかな空気。

 圧迫されていく。

 砂の重さが全てを覆い尽くす。


 誰かがかえってくることもない街。


 街並みは砂に覆われた。

 地中の街に砂が降り積もる。

 天井ソラからはただ砂が降る。


 全てからキミは忘れられる。


 私が埋もれてしまえば私もまた忘れられる存在になる。

 街と同じになれるのだ。

 早く、むしろ早く砂に埋もれたい。

 荒廃を。

 無為を。

 見ていたくないのだ。


 私は君を忘れて。

 私も忘れられて。


 長い眠りにつきたいのだ。

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