第11話 家主が変わった屋根の下
今は明るい電気のついているの2世帯住宅のその家に、1人の女性が住んでいた。
否、正確には2人、2番目の兄と妹が住んでいた。
妹が異変に気が付いたときには時すでに遅く、2番目の兄はロープを首に巻いた状態で宙に浮いたまま絶命していた。
妹はやがて、癌で亡くなった。
生涯独身だった。
空き家になったその家に、今は亡き長男が残した嫁とその妹と母が住んでいる。
妹と長男の嫁は折り合いが悪く、妹は友人を頼り、死後の手続等でも何がしか揉めたりもしたらしいが、遠縁にあたる私には詳しい情報は入ってきていない。
ただ、妹の友人たちが、1つ目の屋根の下の住人である、男の母親と交流を持っているので、なし崩し的に私の小耳にもぽつぽつと断片的な逸話が入ってくるのだ。
友人たちからすると、妹のものだった家が、そのままそっくり折り合いの悪かった兄嫁とその家族に乗っ取られた形になっている今の状況が気に食わないらしい。
墓参りも満足にしない兄嫁家族に、友人たちは思うところがあるのだろう。
とは言え、勿論どうすることもできない。
それは義理の血縁関係のある、男の母親の立場でも同じだ。
家屋は同じでも住人がまるっと変わることもある。
家はそのとき、何を思うのだろうか。
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