虐殺された詩人の壊変
生まれてきたくなかったと願ったあの瞬間から私の心の中で核兵器が爆発し風景が荒廃し原子力発電でしか思考ができなくなったのであった。終わった瞬間に繰り返し佇む感傷が津波の追憶として再生される。降りたってしまったのだ、この土地に。「悲しみ哀しみ。笑っちまうよ」皮肉の花を咲かせることが退屈だとしても空虚さに耐えられる矜持があるわけではない。手品師がカードシャッフルをするように記憶の水槽に手を突っ込み無理に現実を追い出して見せる素振りの絶望感がドキュメンタリーでは伝わらない。写真が写しうるものはすなわち死骸だけであり祈りと敬意というものは等しく視線に還元される。わかっているということがわかっていないということで、ただ理解したくない感情だけが理解できるというような旋律が夢のような廃墟の中で木霊のように反射する。失われた記述に基づく転生の宴が意味のない経済の騒音のなかに安心感という蒙昧を伴って定着する。腐敗の痕跡において囁かれる蔑みと嫌悪の沈黙。弾圧に荷担する善意の犠牲者が汚染された空気のやりきれなさを間抜けにも代表する。すでに何もかも終焉しているにも関わらず舞台の照明が落ちないのはどういうわけなのか。そうだ、くだらなさが残っている。一切を明るい元気さに還元する愚かな道化が痛めつけられるべきなのだ。涙と放射能が区別できなくなる時、人は始めて重力の虹に架けられた二重の雨の意味を理解することだろう。音楽に苦しむためのあらゆる陣痛に幸運あれ!核兵器としての妹を愛することを学ぶための準備はできたのだろうか。ではゲームを始めよう。「でも本当にそんなことを信じているの?」
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