恐怖のみ

消える

消える

消えていく

消えていく

消えていく

消えた自信が

消えた時間が

消えた感情が

消えた趣味が

消えた希望が

消えた人格が

消えた夢が色が朝が光が

泣き声が消えた

安心が消えたならば

恐怖のみ


燕がかえる

そんな世界でも

きっと


私は怖かったんだ

ここに誰もいないのが

置き去りにされていくような

そんな気までして

それでも孤独は欲しくなかったんだ

どんなに空虚でも平等が欲しかった

私は


知る

知る

知っていく

知っていく

知っていく

知った感情は

知った心は

知った希望は

知った知恵は

知った未来は

知った色は

知った言葉は

知った世界は


私のみ

知ってしまったんだ

この道には誰もいない事

私は誰かと共に歩いて居る様で

この道にいるのは私だけ

私は一人で歩いている様で

皆と共に歩いてる

だから妬んだり憎んだり

だから

優しくしたり嘘をついたり

だから

侮辱したり激励したり

そんな事ができたんだ


それで皆未完成で

寄り集まって円を組む

世にも奇妙で普遍的な大団円

互いに見つめ誓うのだ


自らの無能さを恨め

そして無能をけして

いつかいつの日か有能にすり替える

私の世界に永遠なんて無いけど

過去にすがって居ちゃあダメなんだ

僕は君


君は私

君なんて所詮私の言葉

私の知っていることしか言わない癖に

なかなか痛いところを突きやがる


見える

見える

見えていく

見えていく

見えていく

見えた

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