第25話
土曜の朝、予告通りに電話が鳴る。寝ぼけながらもなんとか電話を取る。
「つぐー?起きてる?」
「うん…拓真。」
私の声を聞いた拓真が笑う。何とか起きてはいるが、ダメだ。体が動かない。
「ダメそうだな。迎えに行くぞ?」
「来なくていい…。」
「本当に?」
「本当に…。」
何とか拓真の迎えを断る。亜哉に騒がれたらたまったもんじゃない。あと親にも。
「じゃあ、定期圏内だし、最寄りまでは迎えに行くから。寝ぼけたままでいいから何とか出てきて?」
「送ってもらう…。」
「ハイハイ。頑張って。」
何とか寝ぼけたまま車を出してもらって駅にたどり着く。昨日のうちに頼んでおいてよかった。
「つぐな、大丈夫か。」
「友達いるから平気…。ありがとう。」
心配しながら送り出されて、ふらふらしながら駅中に入ると、拓真が寄ってくる。キャップにパーカーで誰かわからなかった。自分が何着てるかもわかっていないレベルだから、仕方がない。毎朝のごとく亜哉と母親が何とか私を送り出しているのだ。
「つぐ…。平日以上に死んでんな…。」
「自慢じゃないけど、土日の午前中に私が起きてたことなんて数えるほどしかないのよ…。」
「でも、さっきよりは長い文章しゃべるようになったな。…電車乗るから寝てていいぞ。到着するころに起こすから。」
「なんか、拓真大荷物ね…。」
「まあな。ほら、電車乗るぞ。」
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