第17話

 この大会で、那覇中央高校は団体戦に参加出来なかった。部員が2人しかいない高校では仕方ない。5人いた先輩方も去年卒業してしまい、残ったのは二年生の俺、當間忍とうま しのぶと一年生で入ってきた東恩納兼ひがしおんな けんだけだ。


顧問である矢部やべ先生は、「一年待ってていてくれ」と告げて、今年はうちの高校は個人戦のみにしか出場出来ないことを打ち明けた。


だがそうまでして頑張る必要があるのだろうかと、俺は最近思い始めている。

今年の初めから行き詰まり、前に進めている気がしないのだ。レスリング自体にも、情熱を持って取り組めているとは言えない。


こんな状態で一年間待ち、団体戦が出来るようになったからと言ってどうだというのだ?


個人戦で手を抜いたりするつもりはないが、このままレスリングを続けていてどうなるというのだろう?

たかが部活に力を入れていないで、勉強や趣味にあけくれる高校生活を、今からでも桜花しても良いのではないだろうか?


誰も文句は言わないし、事実そうした方が自分にとって良いのではないだろうかと真剣に考え始めている。55kg級の試合まであと少し。この大会が終ったら、そのことを真剣に考えてみよう。


一年生の兼には悪いが、もし本当に来年の新入部員のメンバーで団体戦に出ることが出来るのなら、俺一人いてもいなくてもそう変わらないであろう。


最後になるかも解らない大会。悔いの残らないよう精一杯取り組もう。



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