第17話 ブランコ

 ちょっと前の話ですが。

 長男が膝が痛い、といって帰宅しました。

 湿布を貼り、お風呂では痛くて体を洗いたくない、というほど。(泣きながら、洗っていました)


 どうしてそんなことになったのか? ですね。


 話を聞くと、昼休み、長男はブランコに正座・・で乗っていたとのこと(←ココでもう何が起こるのか想像がつく)。

 一緒にいた女の子が背中を押して、勢い余ってブランコの支柱に膝小僧をぶつけてしまったのですね。

 痛い、と先生のところにいった長男は、「我慢しやなしょうがないね」とアッサリ言われたそう。(優しすぎる先生が多い中、これくらいドライな先生は素敵です)


「なんでぶつけたか言ったん?」

「座って漕いでたらぶつけた、って言った」

「押された、て言わんかったん?」

「うん」


『〇〇ちゃんが押したって言ったら、先生に怒られて〇〇ちゃんが泣くもん』


 なにその、かつてのフェミニスト発言。


 一年生の頃より二年生の先生は怖いので、怒られて泣く女子が多いからだそう。

 うーん、我慢してそこまでせんでエエと思うよ。


「あんた、事故でひかれても自分でぶつけた、て言うんか?」

「ううん」

「〇〇ちゃんは、謝りはったん?」

「ううん、だって俺、痛いとか言うてへんもん」


 だからそこまで我慢せんでエエっちゅーに。


「痛かったら痛い、ってちゃんと言わな分からへんやろ。言わなあかんで」

「うん」


 次の日、〇〇ちゃん謝ってくれるやろか、なんて言いながら学校に行きましたが、彼女にはもちろん記憶にも残ってないでしょうから、無理でしょう。


 このことを主人に電話で話しました。


「アレはなんやろ。その女の子がコワイとかやろか?」

「いや。その子のことが好きなんでしょ」


 うーん、そうなんやろか。漢気、てことですか? 確かに私の目で見ても可愛い女の子ではありますが。

(いやでも、その子は強い女子、としてよく息子の話にのぼるしなあ)


 昨夜、ふと思い出して。

 クラスで一番可愛い子は誰? と聞いてみました。


「〇〇ちゃん?」

「……うへへへ」


 と笑うだけで答えない息子。

 うーん、やっぱりそういうことか。

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