映像研には手を出すな!

 今期NHKイチオシアニメ。アニメ制作を頑張る女子高生達の部活モノなのですが、とにかく面白いです。監督は良くも悪くも話題作を作り続ける湯浅政明監督。この監督の作品はあれですね、人物の動きに特徴があって、合う作品だとピッタリ合うのです。映像研はそれがピッタリ合う作品でした。良かった……。


 湯浅作品はひと目見たらすぐ分かるくらいに個性が強いのですけど、この作品はそう言う湯浅テイストはかなり抑えられていますよね。私、事前に情報を仕入れずにアニメを本編から見たら多分監督を当てられなかったと思います。

 この作品で湯浅監督らしさを一番に感じるのがOPの主人公3人の謎ダンスの部分ですから。あのダンスは湯浅監督にしか描けません。


 この作品、主人公3人の個性がバッチリで、キャラが喋っているだけで面白いんですよね。そこがすごい。特に浅草氏の声、最高です。初めて聞いた時はえっ? って思ったのですけど、秒で慣れました。キャラとのシンクロ率が120%を超えてますよ。声を担当している伊藤沙莉さんは子役の頃から活躍している女優さん。どう言う経緯でこの仕事をする流れになったのかは分かりませんけど、彼女が声を担当してくれたからこそ、この作品は動き出したって感じですね。


 勿論、他の2人の個性も豊かで全員キャラが立っています。とは言え、やはりお嬢様で読モな水崎氏より、金勘定とスケジュール管理の出来る金森氏が心強い。口が達者で大人をやり込めるところとか、実に有能なプロデュース能力とか。部活モノにはこう言う頼りになるキャラって立ち位置的に必要ですよね。あ~るで言えば鳥坂先輩みたいな。創作者視点から見ても勉強になります!


 この作品の大きな特徴である、妄想モードの表現も実に自然で違和感がありません。妄想状態の時は背景が水彩画風になるのですけど、そこで広げられるイメージの表現が最高なんです。この時のBGMもいい。効果音を口で喋っているのも、いかにも空想の表現っぽくて世界観に合ってます。


 きっと技術的にもすごい事をしているんだろうなーって思うのですけど、とにかく見入ってしまいます。作品の題材がアニメ製作ですからね。制作の苦労を描写しているから、アニメを見ながらその作業風景も同時に想像してしまう。巧みだなぁ。


 やっぱり原作が話題になるような作品のアニメ化は、制作スタジオも話題になるようなところと組んで相乗効果が発揮されますね。鬼滅の刃がユーフォテーブルによってアニメ化されたように。モブサイコがボンズ製作だったように。

 湯浅作品、デビルマンはちょっとアレでしたけど、映像研で見事復活って感じです。ピンポンも良かったなぁ。


 と言う訳で、映像研には手を出すな! オススメです。この独自の世界観にハマったら抜け出せませんよっ!

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