空の青さを知る人よ

 現在(※執筆時)絶賛上映中の本作は『あの花~』制作陣、通称、超平和バスターズが原作・制作として関わっている秩父が舞台のアニメ映画です。

 ジャンルとしてはラブコメですね。バトル要素はありません。ラブコメが苦手でアクションが好きな人にはオススメ出来ないかな。


 とは言え、超平和バスターズが関わる作品には、必ずファンタジー要素があるのですよね。『あの花~』では幽霊になった少女、『心が叫びたがってるんだ。』では、とある理由で喋れない少女が登場しました。今作では13年前に取り残された生霊が登場します。


 物語のテーマとしては、夢を追いかける事と現実の折り合い、と言う田舎が舞台の作品では結構ありがちなアレがメインとなるのかな。中途半端に夢が叶った13年後のヒーローと、13年前に夢に燃えていた頃のヒーローとの対比とか、良い演出だと思いましたね。


 ネタバレなし感想で書くので詳しい感想は書けませんけど、面白かったですよ。現実離れした設定ではあるのですけど、意外とすんなり受け入れられるって言うか。13年前のヒーローが本当にいいやつなんだこれが。上映後にはいい話だったなって思えるスッキリした話となっております。


 この作品ね、背景美術が美しいんですよ。私は劇場用作品は美しい背景美術を観に行っているところがあるので、美術が美しいと言うだけでもう大満足でした。

 美術が美しいと言えば、定評があるのが新海作品ですよね。この映画も新海映画に引けをとっていませんよっ。秩父の人も地元をこんなに美しく描いてもらって嬉しいだろうなぁ。地元も超絶美術でアニメ映画にならないかな。むぅ……。


 新海映画を引き合い出したので共通な要素をもう一点。この映画でも実在の企業名とかがそのまま出るのですよ。もしかして実在企業名を出していくのがオリジナルアニメ映画の今後のトレンドとなるのでしょうか? 作品にリアリティが出ますし、スポンサー料も貰えるので一石二鳥かもです。


 この作品、クライマックスではかなり躍動感のあるシーンが登場します。これって宮崎映画リスペクトなのでしょうか。未見の人にはお楽しみにとだけ言っておきます。それまでは割と地味ーに話が進むので、この展開にはびっくりしましたよ。


 都会への憧れ、理想と現実、家族愛、町興し、愛と葛藤、そう言う要素がギューッと詰まっています。特に家族愛がはっきり描写されるシーンではハンカチ必須ですよっ。


 確か、『あの花~』は実写ドラマ化もされたのですよね。実写に向いているかどうかで言えば、この作品って結構実写でも行けそうな気がします。SFX要素はちょっとで済みますし。演歌歌手役で松平健がキャスティングされているのですけど、実写化したら配役そのままでいけますものね。

 まぁ、今後実写化の話が出るかどうかは分かりませんけど。


 と、ここで終わっても良かったのですけど、この作品、聖地巡礼関係で問題が発生しているみたいですね。映画でよく登場する場所が、私有地を経ないといけないところにあるのだとか。なので、その土地の持ち主が部外者立入禁止としたそうです。


 映画関係者は事前にこの事を事前に強く訴えるべきでしたよね。これを土地の持ち主に言わせるのは、ちょっと配慮が足りないと言わざるを得ません。

 って言うか、何故そんな場所を映画に登場させたのでしょう。他にいい場所がなかったのかも知れませんけど……。映画自体がいい出来だけに残念です。


 と言う感じで、最後にケチが付いてしまいましたけど、映画はとても面白かったです。超平和バスターズ作品のファンの方は当然として、恋愛映画、ラブコメが好きな方とかに特にオススメですよっ。

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