天気の子

 話題の作品、早速観てきましたよ! 封切り前に酷評が並んだり、専門家に不評だったりとネガティブな情報が流れても来ていましたけど、百聞は一見にしかずです。

 ネタバレをせずに書くので浅い感想になってしまいますけど、それで良ければ参考程度に読んで頂ければと思います。


 新海作品は物語云々の前にその美術が素晴らしい。なのでその美術を堪能するためだけに観てもいいと思います。今回も素晴らしかった。実に雨を感じました。今年(※執筆時)の夏の傾向とシンクロしてしまったのは、ただの偶然なのか神がかり的なアレなのか。

 名作はたまに時代との強烈な関連性を発揮しますね。それはもしかしたら約束された名作の証なのかも知れません。


 映画の予告を観て分かる通り、この作品のメイン舞台は雨の世界です。雨が降り続きます。作品内でこうなってしまった理由の説明はありません。てっきりそう言うモノローグで始まると思ったので、説明がないのにびっくりしました。敢えて外したのかも知れません。


 後、映画が始まってまず驚くのは実在の企業名やサービス名、商品名がそのまま映画に出てくる事です。それだけでもリアリティが全然違いますよね。『君の名は。』のヒットでそう言う事が出来たのかも。良い宣伝にもなりますし。


 それにしてもこの映画、多分世界的に上映されると思うのですけど、アレが世界中デビューしてしまうのかと思うと……(汗)。ネタバレなので詳しくは書けませんけど、少し前に関東近辺で話題になったアレを東京の象徴として描いたのにはちょっと笑いました。


 そう、この映画結構コメディ要素が多いんですよ。シリアスな展開で始まり、クライマックスでもそうなるのですが、そう言うシーン以外は本当にほのぼのしています。映画の7割くらいはほのぼのシーンじゃないかな。あれ、もしかしてこの映画このまま平和に終わるのかな? って思ったくらいです。

 一部で心配されたバッサーの声の演技も良かったですよ。まだ小栗旬の方が……。この辺りは人によって意見は違うのかもですが(汗)。私から見て、声優にミスキャストはなかったように思います。


 この作品、世界の仕組みを変えてしまったって言うキャッチフレーズでしたけど、この映画も確かに物語の仕組みを少し変えてしまったのかも知れません。

 テーマの重い作品では個人を取るか世界を取るかの二者択一を登場人物に迫ります。この作品ではその回答の新しいパターンを提示していました。どう言う答えを主人公が選択したのかは、是非とも皆さんの目で確認して欲しいと思います。

 私はええっ! って驚きましたよ。その結果を含めて。これは新鮮な驚きでした。


 一部の人に不評と言うのは前作の『君の名は。』でもありましたよね。それと一緒です。感性がずれちゃってるんです、要するに。天気の子では一般に考えられる物語の王道展開を外しています。そこを快く思えない人がいても仕方がないかなと、そう私は感じました。


 この作品はメインターゲットの層に響くように作られています。そこからずれた人へのフォローが特にない。こう言う展開だけど、こう言う見方をすればみんな納得するよねと言う作り方をしていないんです。余計なものを削ぎ落としている感じ。


 そりゃあ確かにこの作品には設定的な穴とかご都合主義的な部分、突っ込みどころもたくさんあります。そこに納得いかない人は面白くは感じない事でしょう。

 けど、映画はエンターティメントです。整合性だけを重視したら小さな作品しか作れません。要は観た人が感動出来るかどうか。それはクリアしていたように私は感じました。


 最後になりましたが、私からの感想は『面白かった』です。リピーターも続々出るんじゃないかな。前作ほどブレイクするかは分かりませんけど、少なくとも興行的な失敗にはならないのではないでしょうか。

 天候もシンクロして応援してくれていますしね(※執筆時)。

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