少女終末旅行

 2017秋アニメの中で一番の雰囲気アニメ、それがこの少女終末旅行です。人類が滅びかけた世界で2人の少女がこの世界の秘密を探る冒険をする物語。ディストピアファンタジーですね。

 この作品の特徴は登場人物が少ないところです。基本的に主人公の2人しか活躍しません。冷静で落ち着いていて知的派のチトと、奔放で楽観的で脳筋のユーリの正反対の性格の2人です。


 彼女達はバイクと戦車の中間みたいな乗り物のケッテンクラートに乗り込んでひたすらに舞台となる都市を上に上に向かって旅をしています。多層階層構造のこの都市は既に滅びているのか人がほとんどいません。そんな中で旅を続けながら彼女達は様々な事を感じ、学んでいきます。と、そう言う感じの物語です。


 作品に流れる独特の雰囲気がいいんですよね。後、キャラが可愛い。激しい戦闘もなく、強烈なギャグもない。ただその世界を旅するだけの物語。彼女達は物言わぬ都市を進みながら、自ら気付いて世界を知っていきます。派手さがないので、好みがはっきり別れる作品ですね。


 意外と哲学チックなところがあって結構知的な刺激を得るかなと思います。暗示的な演出も多いです。寓話的な話なので都合のいい部分も結構ありますね。食料のレーションがいつ作られたのかも分からないのに、ずっと食べて大丈夫なものだったりとか。


 この作品、OP、EDが作品世界に合っていてとても素晴らしいのですが、EDアニメを何と原作者が描いています。ループアニメではあるんですけど、これが素晴らしい。流石原作者です。終わるまで終わらないよ!


 この廃墟都市、ごくたまに他の人物も登場します。9話までの時点で出てきたのは2人。どちらの人物もこの寂しい世界で懸命に生きていました。9話では喋るロボットも出てきましたね。それぞれの出会いを経て主人公2人もかけがえのない経験をしていきます。


 この2人がどうして旅に出るようになったのか、旅に出る前はどんな暮らしをしてきたのか、詳しい事はまだ語られていません。アニメで語られるのかどうかも分かりません。ファンタジーなので、語られてもあんまりリアリティは感じないような話なのかも……。


 そんな細かい事はどうでもいいんです。終末の雰囲気を週末(テレビ放送時)に主人公2人と追体験出来る、そんな作品なんです。滅びかけた世界が好きな方におすすめです。淡々と物語が進むので刺激を求める人にはオススメ出来ないかな。多分見ていると眠くなると思うので(経験者)。

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