プリンセス・プリンシパル

 2017年夏アニメの中でも一二を争う面白さなのがこの作品です。簡単に言うとスパイモノなのですが、そこに軽いSF要素と19世紀末のロンドンの雰囲気と美少女達のキャッキャウフフを混ぜた感じで。


 スパイアニメと言えば、以前放送されていた『ジョーカー・ゲーム』を連想する人も多いとか思いますが、あの作品より創作要素が大きいですね。現実の世界情勢をベースにしつつも、パラレルな世界が舞台ですので。

 後、殺さずを貫いていた『ジョーカー・ゲーム』と違い、こちらでは必要とあらば殺人も厭いません。流石イギリスが舞台のスパイアクションです。


 さて、この作品を面白くしている要素のひとつにケイバーライトと言う架空の科学技術があります。これはSF古典でもおなじみのデバイスで、簡単に言うと重力を無効化する装置です。この装置の開発によってイギリス(作中ではアルビオン王国)は世界を制したと言う設定です。


 アルビオン王国はこの装置のお陰で世界を制しましたが、その後市民の反乱などが起こって王国と共和国のふたつに分裂します。その境界線にはベルリンの壁ならぬロンドンの壁が出来ました。と、そう言う世界観です。


 主人公達は王国の学校に通う共和国側のスパイです。その組織『コントロール』の司令を受けてスパイをしています。最初はアンジェとドロシーの2人だけでしたが、話が進むに連れ王国のプリンセスシャーロットとプリンセスの侍女のベアトリス、日本からの留学生のちせが加わります。


 アンジェとプリンセスには秘密があって、本来はアンジェの方がプリンセスなのですが、革命の時に入れ替わったまま離れ離れになった経緯があります。2人がそっくりなのを利用してチェンジリング作戦としてスパイ活動にも利用されています。


 ドロシーは本当は20歳なのに年齢を偽って同じ学年に在籍していたり、ベアトリスは父親の研究の犠牲になって喉に機械を埋め込まれ、操作する事で誰の声も出す事が出来たりとメンバーは個性豊かです。ちせは武道の達人で実はコントロールの内情を探る役目を日本側の上司から命じられていたりします。


 この作品の見所のひとつは携帯型ケイバーライトを使った無重力アクションです。これがかなりかっこいい。他にも普通のアクションも動きが洗練されていて素晴らしいです。


 スパイモノと言えば魅力的な敵の存在も必須ですが、この作品の場合、王国側の諜報組織とギリギリの攻防を繰り広げています。とは言え、主人公達の方が少しだけ優秀なんですけどね。


 この作品、放送の順番も特殊でいきなり1話が13話から始まります。2話は1話になっていて、放送される話をシャッフルしているのかと思ったら6話が18話と、設定してる話を全て放送する訳ではなさそうです。

 これが単に時系列の説明の為の話数なのか、放送されない話も脚本等は出来上がっているのかそれは分かりません。あらすじくらいは設定されているとは思いますが……。


 舞台が19世紀末と言う事もあって、苦しい貧困層の描写や華やかな上流階級の描写等の社会情勢の描写がしっかり描かれています。

 空中戦艦や列車での戦闘描写などメカニカルな描写等の設定や美術も凝っていて、それが作品世界に没頭出来る要因のひとつになっています。クオリティは相当高いですよ。


 物語はそろそろ佳境に入っていますが(※執筆時)、果たしてチェンジリング作戦は成功するのか。プリンセスの願いは叶うのか。スパイチームは誰ひとり欠ける事なく物語を終えられるのか。色々気になり過ぎて毎週目が離せません。

 この手の話には悲劇がつきものだったりしますが、どうかハッピーエンドが待っていますように。

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