ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち

 先日映画を観に行ってきましてね。本当はドクター・ストレンジが良かったんですが、もう上映期間終了間際で観たい時間帯に上映していなかったので第二希望のこの映画を観る事にしました。


 見た感想はさすがティム・バートン作品。略してさすティムだとしか言えません。その中でもやっぱり一番に感じたのがクリーチャー愛でした。異形のキャラがこの映画には次々に出てきます。普通の人はモブキャラにしかいません。や、見た目普通の人はメインキャラにも結構いますよ。そこは誤解のなきよう。


 映画の予告を見た人は分かると思いますが、この映画は異能を持った子供達が自分の居場所を守る物語です。主人公の少年はある事件をきっかけにその場所に導かれるようにやって来ます。最初はその環境に違和感しか抱いていなかった少年もやがて彼らを事情を理解し始め、彼らを守る事を決意します。

 この設定、ラノベみたいですよね。実際映画のクライマックスは異能バトルになるんですよ。子供達全員が力を合わせて強大な敵と戦うハラハラ・ドキドキの攻防戦は熱く楽しめる事間違いなしです。


 異能がある故に迫害される、それを逃れる為にどうしているかと言うと同じ一日をずっと繰り返しているんですよ。その時間を戻す能力を持っているのがミス・ペレグリン。彼女はその能力と鳥に変身する能力を持っています。

 で、その止まった時間と止まっていない時間を繋げるホットスポットがあって少年はそこから今の時代と過去の時代とを行き来します。ただそれだけなら異能を持つ子供達と楽しく交流する世界なのですが、物語の必然か、敵が出て来てしまうんですねぇ。敵が同族と言うのは何だかリアルで悲しい設定です。


 えー、どこまで話せばネタバレになるのか加減が難しいのですが、書き過ぎちゃっていたらごめんなさい。世の中にはネタバレOK、むしろ積極的にネタバレしてくれ!って人もいるようですが、私はネタバレ知りたくない、あ、でも映画予告は大丈夫、多分。の人なのでネタバレは出来るだけ控えて映画感想を書きたいのです。


 話を戻しまして、異能を持つ人達って設定はアレですよね。世の中のマイノリティの人達の暗喩ですよねやっぱり。どんな人でも生きていいんだよってメッセージって言うと安直ですけど。捻っているようで展開は王道の作品ですので最後にはほっと安心して映画館を出られます。

 この映画は少年の成長譚であり、淡いラブストーリーであり、奇妙な友人達との友情物語であり、理不尽な大人達を子供達だけで成敗する痛快娯楽作品でした。


 ティム映画と言えば注目されるもうひとつの要素に特殊映像があるのですが、そっち方面もすごかったですよ。まさにさすティムです。私もその映像表現を見たくてこの映画に足を運んだと言っても過言ではありません。映像的な一番のクライマックスは海底に沈んだ豪華客船が浮上するシーンです。これは迫力ありました。


 この映画、意外なところで一瞬だけ日本が登場します。そこで表現される日本の描写はやっぱり少し勘違い日本でしたが、アレは監督が本気でそう思ってそうしていると言うより、海外の人に分かりやすく日本を説明するためにそうしている、そう肯定的に捉える事にします。ティムがリアルな日本の景色を知らないはずがありませんもんね。

 日本のシーンはほんの少しなのですが、やっぱり海外の作品、しかも有名監督作品でちょっとでも自国が舞台のシーンがあると言うのは嬉しいものですね。


 面白かったですよ、この映画。途中までは主人公と子供達の間にギスギスしたものがあって観ていて辛かったりもしましたけど、敵が出てきた辺りでみんなが一団となるんですよ。そこからの展開は熱いですよ本当。クライマックスバトルは本当に異能バトルなのでラノベを読む層とか特にオススメです。実力的に劣る子供達側が圧倒的な力を持つ大人達に知恵と勇気で立ち向かうんです。お約束ですけど燃えますよね!


 と、言う訳で今回は映画の話でした。この作品、劇場によってはまだ上映していますよね?(※執筆時)円盤、テレビ放送待ちでもいいですけど、機会があれば是非劇場で楽しんでみて欲しいと思います。

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