最終話 そして、これからも。


胸がいっぱいになる。


私、高宮くんの彼女になれたんだ。


「今日も桜木は創作研究部だよな?」


「う、うん。台本ももうあとちょっとで終わるから高宮くんに渡せると思う・・・」


「そっか。俺は今日も演劇部。土曜日まで続けるんだ。幼稚園での公演に出るから」


「そ、そっか!え?まさか・・・あの桜小路くんが悪役していた・・・」


「あれは別のイベントの。あの日、俺がやってた役やる人が休みで代役をしていたんだ」


「そうだったの」


「ああ。幼稚園での公演はナレーターをやる」


「な、ナレーター!?」


「声が良いからって部長に言われて。声優やるならナレーターもやっとくべきだし、良い機会だなぁと」


「そ、そうだね!私も行って大丈夫かな?」


「ああ。構わない。てか、桜木には絶対来て欲しい」


た、高宮くん・・・。


「うん、行く」


「ありがとう」


高宮くんと話してるのに緊張する!


付き合うってなると、こんなにも緊張するんだ!!


「じゃあ、今日部活終わるの遅いかな?」


「6時くらいだな」


「そ、そっか。あ、あの・・・待ってても良い?」


「いいよ。俺も一緒に帰りたいし」


私達の顔が赤くなる。


意識し過ぎちゃう。


「教室、行こっか」


私が言うと、高宮くんは頷き先に屋上を出た。


今日一日中、ドキドキしっぱなしだろうなぁ。



「おっはよう!みっちゃん、陸斗」


「おはよう!」


教室に着くと、綾ちゃんと姫島くんが私達を迎えた。


綾ちゃん、姫島くん・・・


「おはよう、綾斗!結斗」


「おはよう、綾ちゃん。姫島くん」


言わなきゃ、ちゃんと。


だけど


「桜木、良いから」


「高宮くん?」


「綾斗、結斗!俺、桜木と付き合ってるから!」


高宮くんは二人を真っ直ぐ見つめ、言った。


高宮くん・・・。


「全く!お互い鈍過ぎなんだよ!てめぇらは」


「本当それぇ!しかも、二人は似過ぎよ。好きな人に好きな人がいるなら諦めなきゃなんて。本当ピュア!あたしは自分の事ばっかだったのに」


「俺も。好きな奴が手に入るなら何だってするって思ってたわ。だから、陸斗に何回悶々としたか」


姫島くん、綾ちゃん・・・


「あたしらを気にしなくて良いから!ちゃんと切り替えられるよ。部活も続ける」


「俺も。桜木が選んだのが陸斗なら仕方ないわ」


「綾斗、結斗・・・」


「でも!陸斗がまたみっちゃんを傷つけたら奪っちゃうかもー!」


「俺もだぜ。陸斗が桜木を悲しませるなら陸斗をボコボコにして桜木を奪い取る覚悟だ」


「絶対渡さない!桜木は俺のだ」


た、た、高宮くん!?


さらりとまたドキッとする事を。


「蜜葉ちゃん・・・今の話本当!?」


「優里香ちゃん!」


優里香ちゃんが私にいきなり抱きつく。


「おめでとう!本当に良かったねー!!」


「優里香ちゃん、ありがとう!」


綾ちゃん、姫島くんを傷つける事になるのは辛い。


だけど


いつか二人も私を忘れて新しい恋をするだろう。


今は部員全員複雑な気持ちになっちゃうだろうけど。




放課後になると、私はいつも通り部活へ行った。


「ふぅ!ようやくできたわね。台本」


「だな!色々考えすぎちまったからなー!陸斗には頑張ってもらわないとな」


「そうね!」


台本が無事出来て良かった。


「冬コミでは夏以上に売れると良いわね」


「だな!夏みたいにとにかく目立った宣伝しねぇと!」


でも


この台本、前回に比べて糖度高めだなぁ。


ベッドに押し倒すシーンあるし。


「今回の台本、大人の女性向けの漫画にありそうな感じだね」


「あったりまえ!第一弾ではキスシーンやったし、第二弾はちょっと過激にしないと」


「桜木は慣れてないもんな」


「うん。月刊クローバーさんはキスシーン止まりだよ!増刊号はエロいのあるけど」


「ああ、うちの母さんもたまーに描いてるな。漫画家ってそういうシーンも描けないとだめだから大変だよな。ラノベはねぇけど」


「あたしはたーくさん描いてるわよ」


「綾斗の場合は野郎同士ばっかだろ」


「イケメン同士が絡み合うシーンは最高なのよ?ユイユイ」


「俺は女にしか興味ねぇから!」


エッチなシーンのシナリオは殆ど姫島くんと綾ちゃんに任せちゃったなぁ。


私に気を使ってくれて申し訳なかった。


でも


ゆくゆくは私も恥ずかしいとか言ってられなくなるよね。


いつクローバーの増刊号の打診が来るか分からないし。


「ダミーヘッドマイクだと本当に陸斗にベッドに押し倒されてるみたいになるわね」


「し、視聴すんの俺はきっついな」


「あたしとみっちゃんがするから大丈夫よ」


「綾斗、よく聴けるな」


「聞き慣れてるからね、BLCDで!まあ、あたし的には陸斗は受けなんだけど」


「やめてくれ!変な想像すんだろ」


「もう!ユイユイったらぁ!」


視聴するんだよね、ダミーヘッドマイクで収録した音声をイヤフォンで。


私、大丈夫かな。


高宮くんに耳元で桜木って呼ばれただけでびっくりしちゃうくらいなのに。


想像したらめちゃくちゃドキドキする!


「でも、通販での第一弾CDの売れ行きもすごいし、冬コミはSNSで予めたくさん宣伝すればすんなり売れるんじゃないかしら」


「確かに。母ちゃんの漫画家仲間も知ってたらしいわ」


「あたし達の時代、来るわね」


冬コミまであっという間なんだろうなぁ。


「でも、良かったわね。クリスマスと被らなくて」


「だな。俺は琴莉とランド行くし」


「あたしはサンタワンピ着てケーキの販売よ!」


「サンタワンピ着たオネエがケーキの販売するとか前代未聞だな」


そっか、クリスマス!!


「綾ちゃん人気出そうだね!」


「ありがとう、みっちゃん!みっちゃんはクリスマスはデート決定ね」


「へ?」


「陸斗と付き合ってるんだもの」


「ど、どうだろ?」


「クリスマスはカップルにとって大事なイベントよ」


「そうだな。ギャルゲーでもかなり大事だ。クリスマスは」


「そ、そっか。そうだよね」


いつもは家族で過ごすけど、今年は違うんだ。


高宮くんとクリスマスデート!


まだ付き合ってる自覚が出来てないな、私。



「じゃあね、みっちゃん」


「またな!桜木」


「ば、バイバイ!」


部活を終えると、私は二人と別れて体育館へ向かう。


高宮くんと一緒に帰れるんだ!!


体育館を覗くと、高宮くんが練習していた。


「桃太郎達は鬼退治をするため、鬼ヶ島へ行きました」


高宮くん、ナレーションしてる!


やっぱり声良いから似合うなぁ!


ナレーション。


「はーはっはっは!よく来たな、桃太郎よ。さあ、お前に俺が倒せるかな?はっはっは!」


桜小路くんが鬼役!?


やっぱり悪役似合う!!


そっか。


幼稚園の公演だから桃太郎やるんだ。


5分くらい練習風景を眺めていると、練習が終わった。


すると


高宮くんが私に気が付き、私の元へ走って来た。


「今日はたまたま早く終わった。今から軽く部長の話聞いたら終わる。あと20分くらい待たせる、ごめん」


「だ、大丈夫だよ!さっき来たばかりだし」


すると


「高宮、その子ってA組の桜木さんだよね?」


他のクラスの男子が高宮くんに聞いて来た。


「ああ」


「まさか付き合ってんの?」


「ああ。俺の彼女だよ」


彼女と言われたとたん、私の頰が熱くなる。


彼女・・・。


「マジかよ!超うらやまー!」


すると


「ほら、二人の邪魔しないの!ごめんね、高宮くん。蜜葉ちゃん」


優里香ちゃんが来た。


「優里香ちゃん!」


「高宮くん、山田!部長が話するってさ。行こ」


「あ、ああ」


「じゃあねー!桜木さーん!」


私って違うクラスの人にも知られてるんだ?


やっぱりあの三人とつるんでるからかな?


20分くらいすると、高宮くんが私の元へ再びやって来た。


「桜木、お待たせ。帰ろっか」


「うん。お疲れ様」


高宮くんと二人になるんだよね、また。


「蜜葉ちゃん、高宮くん!またね!」


「高宮陸斗ー!桜木蜜葉!さらばだ!」


「バイバイ!」


「また明日」


優里香ちゃんと桜小路くんに挨拶すると、私達は並んで歩き出す。


「お疲れ様。高宮くん」


「ありがと」


「頑張ってる高宮くん、かっこよかったよ」


「さ、さ、桜木!?」


「ん?」


「な、なんか照れる・・・」


高宮くん、可愛いな。


「私、好きだよ。演技してる高宮くん」


「俺も!漫画描いてる桜木が好き」


「あ、ありがとう!」


気持ちが通じ合うってこんなにも幸せな事なんだ。


「・・・桜木」


「ん?」


「手、繋いでも良い?」


「う、うん!」


私と高宮くんは手を繋ぐ。


本当に付き合っているんだ、私達。


「桜木の手、小さい」


「高宮くんの手、おっきい」


「あのさ、桜木」


「ん?」


「名前、呼びたい」


高宮くん・・・


「う、うん。良いよ」


「じゃあ、蜜葉・・・」


「は、はい・・・」


どうしよう。


めちゃくちゃ嬉しい!!


耳がくすぐったい!


「む・・・」


「どうしたの?高宮くん」


「俺は呼び方変えたのに・・・」


高宮くんは唇を尖らせて言う。


そ、そっか!


私のバカ!


「り、陸斗くん・・・」


「うん!」


陸斗くんの瞳が輝く。


可愛いなぁ、もう。


「蜜葉って名前、俺世界で一番好き」


「り、陸斗くん!?」


「名前呼ぶだけで胸がポカポカする」


陸斗くんはにっこりと笑って言う。


「わ、私も同じ!」


「うん!」


名前を呼ばれるだけでこんなにも嬉しく思うのは初めて。


陸斗くんは私にたくさん幸せをくれる。


私も同じくらい陸斗くんに幸せをあげられてるかな。


だったら良いな。


「桜小路くんが犬の鳴き声のやり方とかたくさん教えてくれた」


「あははっ!さっすが桜小路くん!」


私と陸斗くんは部活の話をしながら帰る。


「二人で動物の真似した動画撮った」


「えっ!本当!?」


「これ」


「わわっ!二人とも犬耳つけてやってる!めちゃくちゃ可愛い、ふふっ」


私は陸斗くんのスマホで陸斗くんと桜小路くんがふざけている動画を見る。


「ね!これ、私のLINEに送って・・・」


ち、近っ!


陸斗くんとかなり顔が近い事に気付いた私は慌てて離れる。


「ご、ごめん」


「こ、こっちこそ悪い」


めちゃくちゃドキドキしたーっ!


まだ慣れないや、この距離感に。


だけど


「着いちゃった。ありがとう、陸斗くん。送ってくれて」


「いや」


陸斗くんは家まで送ってくれた。


明日、会えるのに寂しいな。


「なんか、離れがたい」


「陸斗くん・・・」


「でも、蜜葉の親御さんが心配する。我慢する」


夢のような時間だったな。


「ありがとう、ごめんね」


「大丈夫。蜜葉、また明日」


「うん、バイバイ!」


私は陸斗くんの小さくなっていく背中を見つめる。


好き、たまらなく陸斗くんが。


やっぱり陸斗くん諦めるとか無理だったな、私。



こんなに好きなんだもん。


無理だよ。



私は陸斗くんとずっと一緒にいたい。


離れるなんて絶対無理だ。


私はこの時は付き合ってゴールという感覚でいた。


だけど


実際は違った。


悩みは尽きない。


付き合ってからも。


「蜜葉ちゃん、もうすぐ冬休みだね」


「うん、そうだね」


「クリスマスはデートかぁ。良いなぁ!」


あっという間に12月がやって来た。


陸斗くんと付き合ってからもう一カ月以上は経った。


変わったのは名前の呼び方、二人だけの時は手を繋いで歩く事、二人で出かける事がちょっと増えた・・・だけ。


そう、それだけ。


「まだキスしてなかったの!?」


「ゆ、優里香ちゃん!」


私が現在の状況を話すと、優里香ちゃんは驚いた。


「付き合ってすぐするもんだよ?あたしの友達皆そうだし」


「そ、そうだよね」


陸斗くんは私とキス・・・したくないのかな。


だ、だめ!考えすぎないの、私!


でも


私は陸斗くんと・・・キスしたいな。


「みっちゃんから迫れば良いんじゃない?」


「あ、綾ちゃん!?」


綾ちゃんが話に入って来た。


「あたしがみっちゃんならそうするわよ」


に、肉食系だなぁ、やっぱり。


「私、綾ちゃんみたいな色気無いよ!?」


「そうかしら?最近みっちゃんからはフェロモンを感じるわよ」


あ、綾ちゃん!


「綾斗の言う通り!蜜葉ちゃんからも行かなきゃ。今は女子がガツガツする時代だよ」


「ゆ、優里香ちゃんまで!?」


「我慢してたら辛いだけってよーく分かったでしょ?みっちゃん、これからは素直になって」


「そう・・・だよね!ありがとう、二人とも」


ガツガツしよう、私!


色っぽく、色っぽく!


「今日は部活早く終わったな」


「う、うん。綾ちゃんと姫島くん、アルバイトあるからね」


放課後になると、私は陸斗くんと帰宅する。


「俺も明日からアルバイト」


「あ、そっか。ライアスのイベント資金貯めるんだよね」


「そう。父さんの仕事をちょっと手伝う」


「そ、そっか・・・」


陸斗くん、急にたくさんアルバイト入れたよね。


もしかして私に冷めて来てるから一緒に帰りたくないとか!?


か、考えすぎ?


でも


まだキスしてないし・・・


私、ネガティヴすぎだよぉ!


てか、もう付き合ってるのに悶々としまくり。


我慢してたらだめだよね?



「その時に結斗が俺に・・・蜜葉?」


話している途中、私は立ち止まる。


「どうした」


「陸斗くん、こっち」


私は陸斗くんを近くの公園へ連れて行く。


「蜜葉?」


「陸斗くん・・・私・・・」


「ま、まさか別れ話か・・・」


「ち、違うよ!」


「良かった・・・」


「あのね。私・・・陸斗くんと・・・キスしたいです」


「え・・・」


うぅ!はっきり言ってしまった!


「陸斗くんは私とキス・・・したくないの?」


って、私!


いくら綾ちゃんにガツガツ行けと言われたからってそんな聞き方!


「したい!めちゃくちゃ」


「ふぇ?」


「ごめん。俺がもだもだしてるから蜜葉にそんな事を言わせてしまって」


「気にしないで!私も陸斗くんも恋愛初心者なんだし。ただ、私が不安になっただけで。私ばっかり陸斗くん好きなのかなぁとか」


「バカ蜜葉」


「へ!?陸斗くん!?」


「俺はめちゃくちゃ好きだよ、蜜葉が。一番失いたくない」


「陸斗くん・・・」


「・・・目閉じて」


「う、うん・・・」


私が目を閉じると、陸斗くんの手が私の頰に触れるのが分かった。


ドキドキして・・・心臓がおかしくなりそう。


だけど


陸斗くんは私の唇を突然奪った。


優しい優しいキス。


「陸・・・斗くん」


キスが終わると、私は下を向く。


顔直視出来ない。


顔から火が出そうなくらい顔が熱い。


「蜜葉、こっち見て」


「む、無理です!ほ、ほら!帰ろう?」


「・・・まだだめ」


陸斗くんは私の顎をくいっと持ち上げ、また私の唇を奪った。


「り、り、陸斗くん!こ、これ以上はいっぱいいっぱいだよ・・・」


「蜜葉は嫌なの?」


「い、嫌じゃないよ!嫌じゃないけど・・・」


「じゃあ、もうちょっと」


「えぇっ!?」


付き合って私の知らない陸斗くんの一面を知った気がする。


でも、思った。


これからは我慢せずに自分の気持ちを伝えて行こうと。


「新しいメイク良い感じかも!これなら男子もイチコロよ」


「綾斗、最近女子力増してね?」


「女子力増し増し綾斗くんよ!ふふっ。ユイユイも来てね!合コン」


「わーったよ」


「ちなみにあたしは女子枠で行くから」


「ま、マジかよ・・・」


冬休みが近づき、創作研究部もコミケに向けて大詰めだ。


綾ちゃんと姫島くんは近々合コンに行くらしい。


「イケメンの彼氏をゲットするわよぉ!あたし、オネエモード全開!最悪、ユイユイでも良いわね」


「うわっ!やだ、やだ!陸斗、助けろ。進撃のオカマだ!」


「綾斗、駆逐する」


「いやぁーん!か弱い乙女にひどいわ、陸斗!」


「創作研究部で一番厳つい体つきのお前が言うな」


「本当、それ」


「みっちゃん、陸斗とユイユイがあたしをいじめるー!」


綾ちゃんが私に泣きつく。


「綾ちゃん、よしよし」


私は綾ちゃんの頭を撫でる。


「俺も蜜葉によしよしされたいのに・・・」


「クラスでやたらと桜木にべったりしてるくせに何を言う。陸斗」


「よしよしはまだされた事ない」


「もう、陸斗はみっちゃんにかなり甘えん坊さんね」


「蜜葉、甘えやすいから」


「ペットと飼い主って考えてだよな。カレカノって言うより」


姫島くんの言葉に私は納得する。


確かに陸斗くん、動物っぽいかも。


フリーダムだし。


「俺に甘えるのは別に良いけどよ、彼女には甘えすぎんなよー?陸斗」


「ユイユイ、嫉妬してるんでしょ?陸斗がユイユイ離れしたから」


「だから、お前は勝手に俺をホモにすんのやめろ!」


「大丈夫。結斗にも甘える」


「陸斗はキモい事言うな!!」


私は三人のやりとりを聞いて笑う。


一時はどうなるかと思ったけど・・・


もう心配は無さそう。


創作研究部は不滅。


そう、確信した。


「よし、今日はあたしんちでパーティーするわよ!」


「は?綾斗んち?」


「うん!冬コミに向けての決起集会!パーティーの準備はしてあるの!飲みまくるわよ!」


「俺ら未成年・・・」


「楽しそう!!最近は部活、作業中心だったから息抜きも大事だよね!」


「まあ、悪かねぇわな。テストも終わったし、パーティーにもってこいだぜ、今日は」


「ユイユイは追試組だけどね」


「うるせぇ!綾斗!」


「さ、行くわよ!ご馳走たくさん用意したんだから」


「肉、食いまくりてぇな」


「カレー、食べたい」


「たくさん写真撮らなきゃだよね」


私達は部室を出ようとする。


すると


「高宮陸斗ーっ!勝負だ!今日こそ貴様に勝つ!」


桜小路くんがいきなり教室のドアを開けた。


「さ、行こっか。陸斗」


「俺、腹減ったわ」


「ん。ハバネロさん食べたい」


男子三人は桜小路くんをスルーして歩き出す。


「無視はやめろ、無視は!お前らーっ!泣いちゃうぞ、俺」


この一年、色んな事があった。


新しい友達、部活、漫画家デビュー。


そして


初めての恋・・・。


これからまた困難はあるかもしれない。


だけど、もう私は逃げない。


自分の気持ちに正直に、強く生きる。


私達はもう、大丈夫だ。


ずーっと一緒にいられるよね。


「みっちゃん、早くー!」


「桜木!」


「蜜葉、行こ」


「う、うん!」


これからもずっと皆と色んな事をしていきたい。


創作研究部の活動の幅はまだまだたくさんある。


そして


陸斗くんとももっともっと距離を縮めていきたい。


陸斗くんとずっとずっと一緒にいたいから。


私、桜木蜜葉は何事にも全力で頑張ります!!


後悔の無い青春を送る為に・・・。




(END)



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