第11話 恋煩い?


「おはよう、桜木」


「おはよう、高宮くん!」


デートの翌日、私は学校に行く途中で高宮くんに会った。


今日もかっこいいなぁ、高宮くん!


朝一番に会えて幸せ!


「よぉ、桜木。昨日のデート、楽しかったな」


「ひゃっ!」


いきなり姫島くんが私の肩を抱いてきた。


「結斗・・・」


「何睨んでんだよ?陸斗」


「お、おはよう!姫島くん」


「結斗で良いって、いい加減。デートした仲なんだしさ」


「えぇっ!?」


「俺も桜木とデートした。結斗だけ呼び捨てはおかしい」


「んだと?つーか、寝癖立ってるぞ。身嗜みに気をつけない男は引かれちゃうぜ?陸斗くん」


「うるさい。結斗の分際で」


「あ?」


何で朝からギスギスしてるの!?


この2人。


「おはよう・・・」


綾ちゃんが来た。


「あ、綾ちゃん!おはよう!ねぇ、高宮くんと姫島くんが・・・」


っ!?


綾ちゃんは青ざめた表情をしている。


「あ、綾ちゃん!?大丈夫?」


「大丈夫。あたしは健康体だから。うっ・・・」


いつもならテンション高い綾ちゃんが今日は低い。


声も男子モードの低さだし。


「今日、部活休もう?ね?」


「大丈夫!あたしはやる時はやる女。大丈夫、大丈夫ー!はぁ・・・美人薄命って本当なのかしら」


全然大丈夫じゃないよ、綾ちゃん!


「どこからつっこめば良いんだ?」


姫島くんが呆れる。


「綾斗、保健室行こう?」


「大丈夫よ」


本当に大丈夫かなぁ?


「おはよう、蜜葉ちゃん」


「あ、優里香ちゃん!おはよう」


学校に着くと、私は優里香ちゃんと話をする。


「姫島くんとのデートはどうだった?」


「楽しかったよ?新しい一面が知れた」


「でもさ、蜜葉ちゃん。高宮くん大丈夫なの?」


「えっ?」


「姫島くんとあんまり仲良くしすぎると誤解しちゃうかもよ?」


「そ、そうかなぁ?」


「あたしさ、中学も3人と一緒だったけど・・・高宮くんと姫島くんが特別に仲良くする女子っていなかったんだよね。あたしも距離を感じて綾斗としか話せなかったくらいだし」


「そう・・・なんだ」


「だから、これからは高宮くんにガンガン行こう!彼女になりたいんだよね?」


「彼女・・・」


妄想したら顔から火が出そうに!


「あたしも桜小路に頑張るから!蜜葉ちゃんも頑張ろ?」


「う、うん!」


ガンガン行く・・・か。


どうしたら高宮くんに近づけるのかなぁ。


高宮くんって恋愛自体に興味無さそうだし・・・。


「ご馳走様」


「おい、綾斗。もう良いのかよ?」


「なんか食欲無くってね。はぁ」


昼休みになると、綾ちゃんはお弁当を少しだけ食べ、机に突っ伏して寝始めた。


やっぱり綾ちゃん、元気無いなぁ。


今日、部活休まない!って言い張ってたけど心配。


「みっちゃん、購買一緒に行かない?スポドリ買いたくて」


「あ、うん」


「俺ら先に部室行ってっからな」


放課後になると、私は綾ちゃんと購買へ。


「スポドリ飲めば、良くなるわよね」


「ね、綾ちゃん。無理しない方が良いよ?」


「だめよ!あたしにはやるべき事がたくさんある・・・」


「あ、綾ちゃん!」


綾ちゃんが倒れかけたので、私は綾ちゃんを抱きとめる。


「ごめんね、みっちゃん」


もしかして・・・


私は綾ちゃんのおでこに触る。


「すごい熱!!綾ちゃん、今日は部活休もう?家まで送るから」


「みっちゃん・・・」


「ほら、行こう?2人にはLINEしとくから」


「うん・・・」


私は綾ちゃんを支えながら綾ちゃんの家へ向かった。



「大豪邸・・・」


芸能人の家ってこんな感じだよね?


綾ちゃんの家の前に着くと、私は驚く。


お坊っちゃまだったな、綾ちゃん。


「親御さんは?」


「いないわ。昼間は仕事だもん」


「そっか・・・」


綾ちゃん、一人にはできないなぁ。


私は綾ちゃんの部屋に着くと、綾ちゃんをベッドに寝かせる。


天蓋付きのベッド!!


天蓋付きのベッド以外は勉強机と本棚とクローゼットが置かれており、部屋内は白で統一されていた。


「ねぇ、みっちゃん・・・」


「なーに?綾ちゃん」


「身体がすっごく熱いの・・・脱がせて?」


綾ちゃんはネクタイを緩め、シャツのボタンを三つほど開け、言う。


綾ちゃん、なんかエロい!


「わ、分かった。パジャマ、クローゼットから出しちゃうね」


「ありがとう・・・」


まず、私は綾ちゃんのシャツを脱がせる。


なんかドキドキする!!


「汗だく・・・私、タオル持ってるから拭いちゃうね」


「うん・・・」


姫島くんの言う通りだった。


綾ちゃんは意外と筋肉が凄い。


身体はやっぱり男子なんだなぁ。


「ふふ。驚いたでしょう?みっちゃん。僕の身体見て」


「えっ?」


「ほら、ちゃんと男の身体でしょ?」


綾ちゃんは私の手を自分の胸に触れさせる。


っ!


「あ、あ、綾ちゃん!?」


「ふふ。なんだかいけない事したくなっちゃうな」


「えっ?」


「みっちゃんって隙が多いな」


「きゃっ!」


綾ちゃんはいきなり私をベッドの上に押し倒した。


「綾ちゃん・・・?」


「みっちゃん・・・僕は君が・・・」


えっ・・・


「あ、綾ちゃん!わ、私・・・」


わわっ!


綾ちゃんの顔が私の顔に近付いて・・・


あれ?


綾ちゃんは私の胸の中でぐったりしている。


「綾ちゃん!!」


かなり辛そう!


私はすぐに綾ちゃんを着替えさせた。


「綾ちゃん、ちょっと買い物してくるね。冷却シートと薬買ってくる」


「みっちゃん・・・」


私が行こうとすると、綾ちゃんは私の腕を掴む。


「一人にしちゃ嫌だよ・・・」


「あ、綾ちゃん!?でも、冷やして薬飲まないと。


「薬ならリビングの救急箱にあるはずだから。冷却シートは冷蔵庫に」


「すぐ戻るからね?」


「うん・・・」


綾ちゃん、大丈夫かな?


私はすぐに冷却シートと薬を取りに行く。


「はい。薬飲んでね?」


「みっちゃん、飲ませて?」


「えっ?」


「口移し・・・」


あ、綾ちゃん!?


「あ、あの!」


「みっちゃんが口移ししてくれなきゃ飲まない」


「あ、綾ちゃん!!」


ど、どうしよう!?


「なーんて冗談」


「も、もう!綾ちゃん!」


「みっちゃん、からかいがいあるんだもん」


綾ちゃんは自分で薬を飲む。


「ちゃんと寝てね、綾ちゃん」


私は綾ちゃんの額に冷却シートを貼る。


「ありがとう、みっちゃん・・・」


「大丈夫?」


「うん。無理しすぎちゃったみたい。アルバイトを始めてね」


「アルバイト?」


「うん。部活と自分のサークルの活動費が必要だったから。今月からコスプレカフェで働いているの」


「そうだったんだ」


「アルバイトが無い時間は部活の企画書を作ったり、コミケに出す同人誌作ったりで。だめだね、僕。器用じゃないから無理をしすぎてしまった」


「綾ちゃん・・・」


「ごめんね。心配かけて」


「綾ちゃん、無理しないで!私に出来ることがあれば手伝うから」


「ありがとう、みっちゃん」


「今は寝た方が良いよ?綾ちゃん」


「みっちゃん・・・帰らないよね?」


「えっ?」


「今日、家に一人だから。側にいて欲しい・・・」


綾ちゃん・・・


「大丈夫だよ!綾ちゃん、心配だし」


「ありがとう・・・手を握っていても良い?」


「う、うん・・・」


「何だか安心して眠れそう」


綾ちゃんは私の手を握ったまま、ぐっすりと眠ってしまった。


綾ちゃん、心配だな。


そんなに無理していたなんて・・・。


「綾ちゃん、そろそろ夕飯作るね」


「みっちゃん・・・」


「お粥で良いかな?」


「うん!」


夕方になると、私は綾ちゃんを起こし、夕飯を支度を始めた。


綾ちゃん、熱も引いたみたいだし、良かった。


薬が効いたのかな?


「はい、お粥だよ」


「ありがとう、みっちゃん。ね、食べさせてくれる?」


「う、うん」


今の綾ちゃんは髪を下ろしていて、青いパジャマを着ている状態。


いつもは女子と同じ感覚だったけど、今は男子だなぁ。


「あーん」


「ん・・・美味しい。玉子粥だ」


「良かった!!食欲、戻ったんだね」


「みっちゃんの作った料理だもん。いくらでも食べられるよ」


「ふふ。ありがとう」


「ごめんね、みっちゃんずっと僕の看病してくれてたんだよね」


「大丈夫だよ!綾ちゃんの友達として役に立てるなら嬉しいよ」


「友達ねぇ」


「綾ちゃん・・・?」


「ね、みっちゃん。みっちゃんは隙が多すぎるよ」


「えっ?」


「今の僕が何を考えているか分かる?」


「綾ちゃん・・・?」


「今は陸斗もユイユイもいない。いけない事を考えちゃうよね」


「いけない事?」


綾ちゃんは私をいきなりベッドの中に引き寄せた。


「あ、あ、綾ちゃん!!」


綾ちゃんは私の額にキスをする。


「みっちゃん、顔真っ赤。僕の事、男として意識してる?」


「えっ・・・」


「そんな戸惑った顔されたらやばいね」


「あ、あの!あ、綾ちゃん?ひゃっ!」


綾ちゃんはいきなり私の首筋にキスをする。


「可愛いな、みっちゃんは」


綾ちゃん、どうしちゃったの!?


「あの・・・私、帰らないと・・・」


「だーめ」


綾ちゃんは私を抱きしめる。


あ、綾ちゃんに抱きしめられてる!?


「あ、綾ちゃん!!」


どうしよう!


すごくドキドキしてる。


綾ちゃんはまだ熱が微妙にあるのか様子がおかしい。


どうしよう!!


「みっちゃん?あら、顔がまっかっか」


「ご、ごめん・・・私、帰らないと・・・お母さんが・・・


「そうだよね」


「な、何かあったら電話して?駆け付けるから!じゃあ!」


私は綾ちゃんの家を出た。


うぅ。


すごくドキドキした!!


綾ちゃんが私の首筋にキスしたり、抱きしめてきたり!


「熱あったから変なテンションになっちゃったのかな?綾ちゃん」


だけど


姫島くんの言う通りだった。


綾ちゃんだって男子。


意識はしちゃうんだなぁ。



「おはよう、桜木」


翌日になると、学校に向かう途中で高宮くんに会った。


「高宮くん、おはよう」


また今日も会えた!!


「ん?」


「た、高宮くん!?」


高宮くんがいきなり私の首筋に触れる。


「ここ、赤くなってる」


「えっ?」


もしかして昨日綾ちゃんにつけられた・・・


私の顔が熱くなる。


すると


「おはよう、みっちゃん、陸斗」


綾ちゃんが私達に声をかけてきた。


「・・・綾斗」


「あ、綾ちゃん!!」


「あら?どうしたの?みっちゃん、顔真っ赤にして。もしかして昨日の事、思い出したのかしら?首筋にマーク残したし」


「ふぇ!?」


「綾斗・・・」


「た、高宮くん!?」


高宮くんはいきなり綾ちゃんの胸倉を掴んだ。


「り、陸斗!?」


「桜木に何をした」


「た、高宮くん!!」


「何よ?そんなに怒って。もしかして、あんたもみっちゃんの事・・・」


「はよーっす。って!おい、陸斗!綾斗に何してんだよ!?」


偶然通りかかった姫島くんが私達を見て驚く。


「何?喧嘩?」


「高宮くんが怒るなんて珍しい」


高宮くんは綾ちゃんを睨んでいる。


「ほら、陸斗。落ち着け、落ち着け。陸斗の好きなハバネロさんやっから」


「結斗、俺を子供扱いするな」


「桜木が困ってんだろ」


「ちっ・・・」


「もうやぁねぇ。陸斗は乱暴なんだから」


「どうせてめぇが煽ったんだろ?綾斗」


「あたしは別に。大体、みっちゃんの彼氏でもないくせにそんなに怒るなんておかしいわよ?陸斗」


「そうだぜ。いつも落ち着いてるくせに」


高宮くん?


高宮くんはずっとイライラした表情をしていた。


学校に着くと、私はキスマークをバンソウコウで隠した。


お母さん達には気付かれてなかったみたいだなぁ。


気付いたらすぐ言うし。


「・・・桜木」


「ん?どうしたの?高宮くん」


「顔が熱い。胸が痛い」


高宮くんは胸に手を当て、私に言う。


「えっ!?高宮くん、大丈夫?」


まさか綾ちゃんから感染!?


「熱は無いかなぁ?」


私は高宮くんの額に手を当てる。


「余計熱くなった」


「えっ!?でも、熱は無いよ?」


「最近多い。俺、大丈夫なのかな?桜木」


「ははは!恋煩いか?高宮陸斗!」


桜小路くんが来て言う。


桜小路くん、うちのクラスによく来るなぁ。


「恋煩い?」


「ま、貴様は俺様と違ってお子ちゃまだからな!分からないよなぁ?」


「お子ちゃま違う」


「高宮くん、本当に大丈夫?保健室に・・・」


私は高宮くんの顔を覗き込む。


「っ!だ、大丈夫だ」


「なら、良いけど・・・」


「恋煩い・・・」


高宮くんはじっと私を見る。


「ん?」


「これは恋煩いなのか・・・」


どうしたんだろ?高宮くん。



「蜜葉ちゃん、テスト終わったら七夕祭りがあるって」


「えっ?」


「高宮くん誘ってみたら?」


昼休みになると、私は優里香ちゃんから七夕祭りの事を聞かされた。


七夕祭り、か。


高宮くん、誘ってみようかな?


でも


こないだは漫画の協力って言う理由があったけど、普通に誘うのはどうなんだろう?


だけど、一緒に行きたい。


頑張ってみようかな?


「夏祭り・・・」


「みっちゃんと夏祭り!」


「陸斗と結斗には負けねぇ」


ん?


なんか今日、3人ギスギスしてる?


気のせいかな。




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