第6話 桜小路雅


今日は体育の授業です。


この間までずっとスポーツテストだったけど、今日からは普通の授業。


確かうちのクラスはB組と合同だっけ。


「今日はドッジボールだってさ。いきなり」


「えっ?綾ちゃん、それ本当!?」


「うん。さっき体育の宮下が話してたわよ」


「私、ドッジボール怖いんだよね」


「あたしも!顔面に当たったら最悪!せっかく綺麗にしてるのにぃ!」


「外野になりますように!」


私は創作研究部の皆と体育館へ。


だけど


「ついに勝負の時が来たなぁ!高宮陸斗」


「桜小路くん・・・」


高宮くんの前にある一人の男子が立ちはだかる。


ショートボブにした茶色い髪が目立つ男子だ。


身長低いなぁ。


高宮くんが172だっけ。


高宮くんより低いので彼は男子の中ではかなり低い方だと思う。


「みゃーちゃん!久々ね!」


「げっ。橘綾斗!」


「相変わらず可愛い!」


「軽々しく髪に触るな。俺はこの学園のプリンスだぞ?」


「姫島くん、彼は?」


「桜小路雅(さくらこうじみやび)。俺らと同中。何かと陸斗につっかかる野郎だ」


「あれ、聞いた事あるかも?」


「まあ、お坊っちゃまだからな。綾斗に並ぶ」


「今日こそ貴様に勝つ!ドッジボールでな」


「みゃーちゃん、相変わらず陸斗大好きね」


「は?何を言うかね?橘。俺は高宮陸斗が大嫌いだ!こいつはろくな努力もしてないくせに常に学年トップの成績!帰宅部なのに運動神経も運動部並み!去年、サッカー部だった俺にまんまと勝ちやがったこいつを俺は許さねぇ!」


「俺は桜小路くんと仲良くしたい。張り合うの好きじゃない」


「ふん。良い奴ぶって!俺は貴様を認めないぞ!」


なんかまた変な人が出てきたなぁ。


「が、外野になれなかった!」


じゃんけんで負けた私は外野になれず。


「大丈夫だ、桜木。俺が守る」


「た、高宮くん!」


高宮くんがいると安心だなぁ。


「ちっ。外野だと桜木守れねぇじゃん」


「あーん!あたしも外野になれなかったぁ!顔面気をつけなきゃあ!」


姫島くんだけ外野かぁ。


桜小路くん、さっきからずっと高宮くん睨んでる。


とりあえず、頑張って逃げよう!


ゲームが開始されると、桜小路くんがどんどんうちのチームのメンバーに当てていく。


「桜小路やるな」


「さーて、周りにいる邪魔なの大分減らせたし?心おきなく高宮陸斗を狙える」


私、なかなか当てられないなぁ。


早く当たって外野に行った方が良いかも。


桜小路くんが投げるボール、力が強すぎて怖い。


「綾斗!」


綾ちゃんがボールを取った!


「あたしの出番なようね」


綾ちゃんはいきなり敵チームのメンバーにボールを当てた。


投げる力強い!!


「やべぇ。橘、あんな強いの!?」


「ふふっ。あんた、さっき思いっきりみっちゃん狙ってたわね?お仕置きしなきゃ」


「ぎゃああ!!」


綾ちゃんは容赦なく強い力でボールを当てていく。


「くそっ。橘に大分うちの兵がやられてしまったか」


「俺もいるぜ?桜小路」


「おっと!危ね」


桜小路くんはギリギリで姫島くんが投げたボールを避けた。


「外野は倒せないしな。よし、橘ぁ!」


桜小路くんは綾ちゃんに向かってボールを投げる。


すると


ボールが綾ちゃんの顔面に当たった。


「いやーん!あたしの顔にボールがぁ!」


「綾斗、さっきてめぇも容赦なく敵の顔面にボール当ててたよな?」


姫島くんが綾ちゃんにつっこむ。


「陸斗。みゃーちゃんにボール当てて!顔面狙いで」


綾ちゃんと高宮くんの近くにいたから私、残っちゃったなぁ。


敵チームは桜小路くんの他に五人。


うちのチームは私と高宮くんと他に二人。


「た、高宮くん・・・」


「大丈夫だ」


「ははは!高宮陸斗!今日こそお前に勝ってやるよ!そうだな。俺が勝ったら俺の言う事聞いて貰おう!」


「分かった」


「高宮くん、そんな簡単に・・・」


「大丈夫だ」


だけど


「さぁ、俺の活躍を見るが良い!貴様ら!」


「ぎゃああ!」


桜小路くんは一気に私と高宮くん以外の2人を倒してしまった。


私と高宮くんだけ!?


「さあ、高宮!!かかって来い。ま、俺様に当たるとは思わないけどな!ははは!ぐはっ!」


「あ・・・」


高宮くん、あっさり桜小路くんの顔面にボールを当ててしまった。


「隊長!」


「しっかりしてください!隊長ー!!」


男子達は桜小路くんの元へ駆け寄る。


「くそっ。また負けた!しかも何故俺が倒れたというのに女子が来ない・・・野郎ばっかかよ」


「やだ。何あれだっさ」


「さっすがプリンス(笑)だねー」


桜小路くん、女子にバカにされてる・・・。


プリンス(笑)って何!?


私は高宮くんに守られ、高宮くんが桜小路くん以外の全員をあっさり倒してドッジボールは終わった。


「白熱したわねー」


「桜小路くん、大丈夫かな。顔面」


「グッジョブよ、陸斗!あいつ、このか弱い乙女の顔面当ててきたんだから!」


「か弱い奴がバンバン敵にボール当てられるかよ」


「でも、桜小路くんって何であんなに高宮くん恨むのかな」


「やっぱ妬みだよな。陸斗がモテるから」


「みゃーちゃんはちやほやされたい願望強いからね」


「さっき女子がプリンス(笑)って」


「ああ。みゃーちゃん、顔は良いんだけど残念だから。王子様役やりたくて演劇部に入ったらしいんだけど、かわいそうな事に」


「かわいそうな事?」


「最初やったのはカエルの王子様のカエル役らしいわ」


「えっ・・・」


「あと、シンデレラのネズミ役だろ?なんか不憫だよな、桜小路」


「でも、俺!桜小路くん好き。演技上手い。動物役やるのも動物の鳴き真似上手いからやらされてるし」


「そうなんだ・・・」


「だから、桜小路くんに嫌われてるの悲しい」


「大丈夫よ。陸斗。嫌いだったらあそこまで構わないわよ」


「そうか?」


確かに。


ライバルってやつだよね。


「桜王子さんが呟いてる」


「桜王子?高宮くん、twitter?」


「最近フォロワーになった人。よく絡んでくれるんだ」


休み時間になると、高宮くんは私にtwitterの画面を見せた。


(今日は体育の授業でドッジボール。うちのチームは負けてしまった( ˃̣̣̥ω˂̣̣̥ )もっと強くなりたい!そんで、あいつと対等な関係になりたい。次こそ勝って悔しがる顔見たいなぁ!)


この人の学校もドッジボールだったのかぁ。


「返信する。奇遇ですね。うちも体育で今日ドッジボールやりました。ドッジボール楽しいですよね!あいつって前に言っていた違うクラスのイケメンですよね?次こそ勝てると良いですね!応援してます!」


「高宮くんってtwitterで結構やりとりするんだね?」


「いや。絡むのは基本的に桜王子さんだけ。後はアニメの感想ツイートが主」


桜王子さん良いなぁ。


高宮くんとたくさん絡めて。


でも


桜王子ってすごい名前だなぁ。




「ごめん!お茶忘れたから購買まで買いに行くね」


「はーい!」


「桜木、俺も行くわ。唐揚げ買いたい」


「うん!」


私は昼休みになると、姫島くんと一緒に購買へ向かう。


購買に向かう途中で友達と談笑する桜小路くんを見かけた。


あ、桜小路くんだ。


「見ろよ!山下!Rickさんから返信来た!Rickさんとこもドッジボールやったんだ。Rickさんさ、すげぇ趣味合うんだよな。音楽の趣味も漫画の趣味も!いつか会いたいなぁ。でも、男子同士でオフ会はきついかなぁ」


「可愛い女の子と絡めよ、桜小路!」


「無理無理!俺の呟き、ライアスの話か漫画の話ばっかだし」


「つーか、桜王子って名前はねぇわ」


「ははは!俺はプリンスだ。この名前は俺にこそ相応しい」


高宮くんがtwitterで一番仲良い桜王子さんって桜小路くん!?


「げっ。桜王子って桜小路かよ」


「姫島くん!2人には事実言わないでおこう?」


「そ、そうだな。桜小路知ったらぶっ倒れそうだ。あいつ、繊細だし。でも、あいつら実は結構気が合うんじゃねぇか」


「うん。実際に会うと、すれ違いまくりだけど」


「なんか、切ないね」


「ま、桜小路は高飛車な性格だし仕方ねぇだろ」


うーん。


人間関係って難しいね。


「あーやちゃん。何描いてるの?」


「新しい同人誌の原稿よ!」


教室に戻ると、綾ちゃんが漫画を描いていた。


「これ、桜小路くん?」


「そう!さっすがみっちゃん!で、これが陸斗。こっちが結斗ね」


「また俺達がモデル・・・」


「桜小路もホモかよ」


BLだ・・・。


「さ、ご飯にしましょ!」


「うん!」


「結斗、それ・・・」


「可愛い!くまさんの形のチキンライス!キャラ弁じゃない!」


「やっべ。こ、これは今日、俺が琴莉の遠足用にキャラ弁作って間違えて自分のもキャラ弁にしちゃっただけだからな!お、俺の趣味じゃないんだからな!」


姫島くんはキャラ弁がバレるとかなり焦った。


姫島くん、キャラ弁作るの上手い!!


「ユイユイ可愛いー!」


「うっせぇ!綾斗!」


「綾斗、一口」


「仕方ねぇな、陸斗は」


ん?


私は視線を感じ、教室の入り口を見る。


桜小路くん!?


「ほら、玉子焼き。あーん」


姫島くんは高宮くんに玉子焼きを食べさせる。


すると


桜小路くんがむっとした表情をした。


えっ?


「ハンバーグ美味い」


「おい、陸斗。口元にケチャップついてんぞ」


「結斗、どこ?」


「仕方ねぇな。じっとしてろ」


姫島くんは高宮くんの口元をハンカチで拭く。


すると


桜小路くんは悔しそうな顔をした。


「みっちゃん。これで分かったでしょ?みゃーちゃんもユイユイ並のツンデレなホモだって」


「ホモではないと思うよ!?」


私は綾ちゃんに言い返す。


すると


「高宮陸斗!」


ついに桜小路くんは高宮くんに声をかけた。


「桜小路くん、どうした?」


「高宮陸斗。放課後、貴様に勝負を挑む!カラオケで決闘だ」


「桜小路くんとカラオケ!」


高宮くんの瞳が輝く。


「しょ、勝負なんだからな!採点機能あるし、勝負できるだろ」


「みゃーちゃんの言葉を訳すと、今日の放課後一緒にカラオケ行かない?高宮くんとずっと一緒にカラオケ行きたかったんだぁ、ね」


回りくどっ!


素直に誘えば良いのに。


「嬉しい。桜小路くんには嫌われてると思ってたから」


「ば、バカか!高宮は」


「綾斗、桜小路くんとカラオケ行ってきても良いか?」


「そうね。陸斗は部誌、載せるの4コマだけで作業少ないし、今日は特別ね」


「ありがとう、綾斗」


良いなぁ。


私も高宮くんの生歌聴きたかったなぁ。


でも


部活休むわけには行かないし!


原稿進めなきゃなぁ。


綾ちゃんとのデートを参考に描けるし。


頑張ろう!!



「ユーイユイ、ユーイユイ、シスコンさーんだよー」


「おい、綾斗てめぇ!変な替え歌作るな!」


やっぱり高宮くんいないと寂しいな。


「ユイユイ、ラノベの進捗状況はどう?」


「ああ。とりあえず、主人公がヒロイン二人目と出会うとこまでは行った。部誌だからページ制限あるし、ヒロイン二人制にするわ」


「そうね。幼馴染みと転校生の間で揺れ動くってお話なのね」


「そ。幼馴染みはツンデレ美少女で転校生は清楚な雰囲気のお嬢様だ」


姫島くん、結構順調なんだなぁ。


私は詰んでる!


ヒロインがヒーローに恋に落ちるとこで止まってる。


部誌用の漫画と編集部に出す用の漫画。


二つ詰んでるとは。


「みっちゃん、大丈夫?」


「綾ちゃん!」


「進捗状況は?」


「ヒロインがヒーローに恋に落ちるとこで止まってるかな」


「あら、まさに今のみっちゃんと同じね」


「へ?」


「陸斗に恋に落ちてから進展無し」


うっ!


「あ、綾ちゃん!そんなはっきり言わないでー!」


「あの子は恋愛なんて一切考えないタイプだからね」


「た、高宮くんってどんな女の子が好きなのかな・・・」


「ユイユイ知ってるー?」


「知らねぇよ!」


姫島くん不機嫌!?


「もしかしたらホモって可能性も・・・」


「綾ちゃん!?」


「まあ、陸斗が仲良くしている女の子ってみっちゃんだけだからね」


「私だけ・・・」


そういや、女子は騒がしいから苦手なんだっけ。


「でもね、みっちゃん。陸斗以外にも目を向けてみても良いと思うわよ」


「へ?」


「もしかしたら僕を好きになるって事もあるかもしれないからね」


綾ちゃんはいきなり私の手を握り、言った。


だ、男子モード!!


「急に男出すな!」


姫島くんがいきなり綾ちゃんの背中に蹴りを入れる。


「痛いじゃない!ユイユイ!か弱い乙女に何するのぉ?」


「どこがだよ!握力、俺より強かったくせに」


「えー?」


「桜木、ネームの事はそんなに深く考えすぎんな。俺もよくスランプなるしよ」


「姫島くん・・・」


「焦らなくても大丈夫だからな」


姫島くんは私の頭を撫で、言った。


「ありがとう、姫島くん!」


「おぅ。描けないなら俺のラノベ見てくれねぇか?ざっと読んで感想聞かせて欲しい」


「うん!」


「ユイユイめ。美味しいとこ持っていきやがって」


良い作品作りたいな。


早くスランプから脱却したい!!


「おはよう」


「た、高宮くん!おはよう!」


翌日、高宮くんが学校に来ると私はいつも通りHRが始まるまで高宮くんと話す。


「桜小路くん、歌上手だった」


「そうなんだ!私も行きたかったな」


「ごめんな。部活休んで」


「ううん!桜小路くんとは仲良くなれた?」


「泣かせちゃった」


「えっ!?」


「桜小路くん、採点で俺になかなか勝てないってたくさん曲入れて声が出なくなって。泣きながら帰った」


「そ、そっか」


やっぱり残念王子だ。


「そうだ、桜木に見て欲しい物が」


「何?」


「部活休んだから家で4コマ描いてきた」


「あれ?この王子様の格好をしたカエルは?」


「桜小路くんイメージした」


「桜小路くんには見せちゃだめだよ!泣いちゃうと思う・・・」


「分かった」


「た、高宮陸斗ー」


わっ!


いきなり後ろから桜小路くんが来た。


「声出てない。桜小路くん。大丈夫?」


「今日はゲーセンで勝負だ。ホッケーで俺に勝てる奴はいない・・・」


声カスカスだよ!?


すると


「桜小路!!」


「ぐはっ!!」


いきなり桜小路くんは誰かに蹴りを入れられた。


「また高宮くんを困らせて!今日は部活でしょ?サボるつもりじゃないでしょうね!?」


あ、同じクラスの冴島さん!


冴島さんは黒髪でショートのボーイッシュな雰囲気の女の子だ。


「なんだよ、冴島。邪魔するな」


「演劇部なら喉を大事にしなさいよ!何よ、その声」


「うるせぇな。ほっとけ。これは高宮陸斗と俺の問題だ」


「とにかく!今日は部活に行きなさいよね!あたしが連行して行くから」


「やだ!シンデレラのネズミ役はー!!」


「我儘言うな!」


「冴島さんと桜小路くん、今日も仲良し」


「な、仲良しなのかなぁ?」


「あの二人も幼馴染。俺と結斗みたいだろ?」


「高宮くん達の方が平穏に見えるけど?」


「ふん。冴島のバーカ!可愛くねぇ女だ、今日も!ふん!」


桜小路くんは教室から出て行った。


「どうしよう・・・」


冴島さん?


「桜小路にまたきつくしちゃった・・・。嫌われたかも」


冴島さんは涙目。


えっ!?


「冴島さん、大丈夫だよ。ケンカするほど仲が良いって言うから・・・」


私は冴島さんに声をかける。


「桜木さん・・・」


「さ、冴島さんは桜小路くんを心配してたんだよね?」


「うん。あいつが喉やったって知って心配で。でも、優しく気遣えなかった。あたしのバカァ!」


もしかして・・・


「ゆーちゃん、また落ち込んでる!」


「綾斗・・・」


「ふん。これだから素直じゃない女は」


「ユイユイがそれ言っちゃう?」


綾ちゃんと姫島くんが登校してきた。


「だ、大丈夫だよ!心配する気持ち、きっと桜小路くんにも伝わってるよ」


「桜木さーん!」


冴島さんはいきなり私に抱きついた。


そっか。


冴島さんって桜小路くんが好きなんだ。


「つまり三角関係ね」


綾ちゃんはスケッチブックに相関図を書いて私に見せた。


高宮くんに向かって桜小路くんからの矢印が出ていて、桜小路くんに向かって冴島さんの矢印が出ている。


「変な相関図書くなよ、綾斗!」


「ありがとう。桜木さん!あたし、頑張るね」


冴島さんは涙を拭い、私に言った。


可愛い・・・。


恋してるんだなぁ、冴島さんも。


「が、頑張ってね。私、応援する」


「ありがとう!あ、あたしの事は優里香で良いよ」


「優里香・・・ちゃん?」


「きゃわいい!」


「へ?」


「あたし、前からずっと桜木さんと仲良くなりたかったんだよね。この三人と仲良くしててすごいなぁって思ってて」


「わ、私の事は蜜葉で良いよ」


「うん!よろしく、蜜葉ちゃん!」


初めてできた女の子のお友達!


感動!!


「あの、優里香ちゃんも演劇部なの?」


「そうよ。さ、桜小路ほっとけないからね」


そうなんだ!


「大好きなんだね」


「だ、大好き!?そ、そうね。あぁ、恥ずかしいよぉ!」


優里香ちゃん顔真っ赤!


「あんなバカ王子のどこが良いんだか」


姫島くんは笑いながら言う。


「そりゃあ残念なとこたくさんあるけど、良いとこだってあるんだから!部活中とかネズミ役やる桜小路可愛いんだよ

。待ち受けにしちゃった」


「か、可愛いのか?」


「みゃーちゃん、愛されてるわね」


やっぱりうちの学校、変わった人が多いなぁ。



「蜜葉ちゃん、一緒に学食行かない?」


「優里香ちゃん!」


「ちょっと、優里香!その子も呼ぶの?」


あ・・・


優里香ちゃんの友達二人組は嫌そうな顔してる。


私のネーム破った子達だ。


「だって、友達だし!蜜葉ちゃん、良い子だよ?」


「やってらんねぇわ。うち、優里香がその子と仲良くすんならもう友達やめる」


「うちも」


「あっそ。好きにすれば?」


「ゆ、優里香ちゃん!?」


「行こ!蜜葉ちゃん!」


「桜木、冴島にとられた」


「部活で話せるでしょー?陸斗。みっちゃんだって女の子と話したいだろうし」


私は優里香ちゃんと学食へ。


「学食初めて来た!」


「蜜葉ちゃんはお弁当持って来てるんだ?」


「うん。あ、でもデザートセットあるんだね。デザートセットだけ買おうかな」


「じゃあ、食券の列並ぼう!」


「あ、あのさ!優里香ちゃん!良かったの?友達」


「うん。蜜葉ちゃんのが話しやすいし。あの子達悪口ばっかでさ。なんか一緒にいて疲れたんだよねー」


「そ、そっか」


「あ、あたしはパスタセットにしようっと」


嬉しいなぁ。


女の子のお友達とご飯!


「そういえば、蜜葉ちゃんは誰が本命なの?」


「へ?」


「創作研究部の三人」


「わ、私は高宮くん・・・」


「そうなんだ!応援するよ、あたし!高宮かぁ。あいつはなかなか行動が読めないよね」


「うん」


私達はご飯を食べながら話す。


「でも、男子三人女子一人の部活って辛くなかった?」


「綾ちゃん、女の子みたいだし!姫島くんも高宮くんも話しやすいよ?最近は」


「姫島くんと高宮くん、蜜葉ちゃんに優しいもんね。他の女子にはあまり話しかけないのに。はっ!まさか・・・」


「優里香ちゃん?」


「なぁ、桜木。俺と良い事しようぜ?た、高宮くん!ど、どこ触って!?ずりぃな、陸斗。俺にも桜木、触らせろよ。代われ!ひ、姫島くんまで!?的な放課後の部室で二人から迫られる蜜葉ちゃん!良いシチュ!!」


「ゆ、優里香ちゃん!違うからね!」


「あはは、ごめん。あたし、妄想癖が」


「そ、そうなんだ・・・」


「でも、羨ましいな。あたしも桜小路ともっと仲良くなりたーい!」


「が、頑張ろう!私も頑張るから。高宮くんに」


「うん!」


そういえば私、アプローチというアプローチを高宮くんにしてないなぁ。


デートはもうすぐ。


高宮くんに頑張らなきゃ!


もっと仲良くなりたいし!


優里香ちゃんも桜小路くんともっと仲良くなれると良いなぁ。



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