第2話 天然系男子?
「ここが部室ね!」
橘くんに案内され、私達は部室へ。
中はたくさんの本棚と大きな机とイス4つが置かれていて、部屋の済にはPCが2台。
本棚にはゲーム、漫画、フィギュアがずらりと並んでいる。
「部室用意できたのか、綾斗」
「ええ。あたし、交渉上手だから♪」
「とりあえず部の内容としてはさっき言った通り皆で一つの作品を作るという事。桜木ちゃんもあたしも絵が描けるし!あたしに至ってはゲームを作る技術もある。ゆいゆいは文章力あるし、陸斗は声優志望だからアフレコを任せられる」
「で?ドラマCDとゲーム、どっちを作るんだ?」
「それをこれから皆で考えるのよー」
「無計画かよ」
姫島くんは溜息をつきながら、言う。
「ま、とりあえず!今日は顔合わせって事で!部に女の子がもう一人入ってくれて安心だわ!」
「女の子は桜木だけだろ」
「あら?あたしを忘れないでよ!ユイユイ♡」
「キモ・・・」
「とりあえず、今日は解散!あたし、これからオフ会があってね。活動は明日から開始!じゃ、お先にー!」
「勝手なオネエだな」
橘くんが行くと、姫島くんが呆れながら言った。
「桜木、大丈夫?綾斗、強引なとこあるから」
「だ、大丈夫だよ。嬉しかったから。誘って貰えて」
「なら、良かった。桜木、あんま人と関わりたくないタイプなのかと思ってたから」
えっ?
「そ、そんな事ないよ。わ、私は皆と上手く話せないだけ」
「じゃあ、これからは俺達に話しかければ良い」
「へ?」
「結斗も綾斗も変だけど、良い奴」
「おい、陸斗!変とはなんだ、変とは!」
「俺もよくあんま喋らないから人嫌いと思われがちだけど、話すのは嫌いじゃない。だから、これからは話しかけてくれると嬉しい」
高宮くんって良い人なんだな。
高宮くんって基本的に姫島くんや橘くんとしか話さないから特定の人としか仲良くしない人だと思ってたけど・・・
違うんだなぁ。
「陸斗、帰ろうぜ?」
「じゃあ、桜木も一緒に」
「はぁ!?」
「桜木と一緒に帰りたい」
た、高宮くん!?
「う、うん!良いよ」
「けっ。チョロい女だ。ギャルゲーだと大半の女子が最初一緒に帰ってくれねぇぞ?」
姫島くん、ぶつぶつ何か言ってる。
大丈夫かな?
「桜木は漫画家志望なのか?」
高宮くんは帰り際、私に聞いてきた。
「へ?ああ、うん。一応持ち込みとかしてる」
「少年ウィングか!?」
「ち、違うよ!月刊クローバーっていう少女漫画雑誌」
「ああ、結斗の母ちゃんが連載している雑誌か」
「へ?姫島くんのお母さん?」
「おい、陸斗!」
「Rioっていう漫画家。結斗の母ちゃん」
「ほ、本当!?わ、私!大ファンだよ!コミック全部持ってるし、サイン会も行ったよ」
「ガチファンなんだな」
「えっ!じゃあ、あの作者さんが描いてた巻末の子育て日記4コマに出てた男の子が姫島くん?」
「そうなるな」
「そっか。お母さんの誕生日にケーキを作ったっていうのも姫島く・・・」
「お、おい!お前!ぜってぇ俺がRioの息子だってクラスの奴にはバラすなよ?隠してんだから」
姫島くんが顔を赤らめながら言った。
「え?ああ、うん」
「それと!母ちゃんの漫画に描いてある内容!信じるなよな?話盛ってるに決まってるだろ」
「えっ!?」
「桜木、結斗は照れ屋なんだ。学校では不良キャラで通してるから可愛い一面知られたくないんだ」
「おい、陸斗!不良はキャラじゃねぇかんな?」
まさか姫島くんが憧れの漫画家さんの息子だったなんて。
「結斗、今日はこっちから帰るのか?」
「ああ。約束してっからな」
「そうか。じゃあ、また明日」
「ひ、姫島くん!また明日ね?」
「ああ。じゃ」
途中で姫島くんと別れると、私は高宮くんと二人に。
ど、どうしよう!!
私、高宮くんと何を話せば!?
「桜木。緊張しすぎ」
「へ!?ご、ごめんね。男の子と帰るの初めてだったから」
「そうか」
「ひ、姫島くん・・・この後彼女とでも会うのかな?」
「結斗?あいつは彼女いないよ。多分、妹と約束してる」
「そっか。確かに漫画に女の子も出てきたもんね。妹さんいるんだ」
「小学生の妹がな。結斗は妹以外の女子と親しくならないから彼女できないと思う」
「めちゃくちゃモテるのに?」
「結斗ファンは殆どギャルだし、結斗は中身は純情な中学生みたいな奴。女遊びするってのもただの噂」
「そ、そっか。意外だね。た、高宮くんは姫島くんと・・・」
「小学校の時からの同級生」
「長い付き合いなんだね」
「ああ」
う、上手く会話できない!
クラスの女の子達みたいに盛り上げ上手になりたいよ!
「あ、あの!高宮くんは兄弟いる?」
「いない。一人っ子。桜木は?」
「わ、私も一人っ子だよ」
「そうか」
か、会話終了!?
会話って難しい!
「た、橘くんとは?」
「綾斗は中学が一緒だった。同人誌のキャラのモデルを俺と結斗に頼んできて。それがきっかけで仲良くなった」
「どんな同人誌?」
「桜木は知らない方が良い・・・」
高宮くんは暗い表情で言った。
どんな内容だったの!?
「でも、同人やってるなら橘くんすごい絵が上手なんだろうね」
「ああ。一冊3000円する同人誌出してもすぐ売り切れるくらいには人気。前に綾斗のサークル見に結斗とイベント行った」
「高宮くん、そういうイベント行くんだ?」
「ライアスのイベント限定フィギュアが欲しくて」
ロボットアニメグッズ目当て!?
「本当ロボットアニメ好きなんだね」
「ああ。始発で行ったら余裕で買えた」
「し、始発!?」
「オークションだと高騰して10万超えるからな。イベントに行かないと安く手に入れられない」
「た、大変なんだね」
「でも、手に入るとすごく嬉しい。桜木もライアスのグッズ買ったりするのか?」
「わ、私は最近見始めたばかりだから。漫画は買って読もうかなって考えてる」
「じゃあ、貸す。俺、持ってるし」
「本当?ありがとう!」
「でも、俺としては桜木にライアスの漫画描いて欲しい」
「私、思いっきり少女漫画絵だよ!?」
「それでも、俺が好きだから。リクエストしたかったけど、俺はまだコメント入れ始めたばかりの新規ファンだし・・・仲良くなりたい気持ちはあったんだが」
な、仲良く!?
「わ、私と仲良く?」
「ああ。だから、twitter探したりした」
「ごめんね。私、twitterはやってないんだ」
「そうだったのか」
「リクエスト、聞くよ?ちょうど二次創作イラスト描きたかったから」
「本当か!?む、無料で!?」
「もちろん無料だよ!?」
「嬉しい」
高宮くんが笑うと、ドキッとする。
普段ぼーっとしている人だからかな。
「ライアス1号機とカイトを描いて欲しい」
「わ、分かった!いつもみたく投稿すれば良いかな?」
「桜木が良ければ、生の原稿を貰いたい」
「良いよ?」
「良かった。貰ったら部屋の壁に貼るな」
本当に高宮くんってロボットアニメ大好きなんだなぁ。
私達は駅に行くと、電車に乗り込んだ。
「桜木どこ駅?」
「あ!二駅先の駅」
「俺と一緒だな」
「えっ!高宮くんも?」
「ああ。たくさん話せて嬉しい」
「へ!?」
「結斗、ライアス1話しか見てなくって。桜木とライアス語れて嬉しいな」
高宮くんって素直な人なんだなぁ。
素直に思った事言うからドキッとしちゃう。
「ねぇねぇ、あの人超カッコ良くない!?」
「それな!」
近くにいた女子高生2人組の話し声が聞こえてきた。
電車に乗り込んでから高宮くん、色んな女子にチラチラ見られてる。
美形だもんね。
「高宮くんって本当注目されやすいんだね」
「俺がライアスについて語りまくったから気持ち悪がられたのかな」
「ち、違うと思うよ!高宮くんかっこいいから」
い、言っちゃった!
「かっこいい?いつもぼーっとしてカピバラみたいだと結斗に言われるような男だぞ?」
カピバラ!?
「か、カピバラ・・・可愛いね」
「だから、注目されるような人間ではない」
「そういえば、高宮くんって女の子とあまり話さないよね」
基本的に姫島くんや橘くんとしか話さないし。
「女子は苦手だ。あのきゃぴきゃぴした感じにびっくりしてしまう」
「に、苦手なんだ」
じゃあ、私の事も・・・
「でも、桜木はなんか平気」
「へ?」
「俺、桜木は好きみたいだ」
「す、好き!?」
「結斗や綾斗といる時と同じ感じで話せる」
「そ、そっか。あの、高宮くん」
「ん?」
「お、女の子に簡単に好きって言ったらだめだよ?」
「何故?」
「か、勘違いされちゃうよ?」
「勘違い?何を勘違いする?自分の気持ちを素直に言った。今の言葉に嘘はない」
て、天然なのかな?
高宮くんって。
「す、好きにも種類があるでしょ?今の言い方だと恋愛的な意味があるのかなって思う人もいるよ?」
「そうか。じゃあ、言い方を変える。俺は桜木には懐いた」
懐いた!?
「な、懐いてもらえて嬉しいな」
高宮くんって不思議な男子だ!
高宮くんとアニメの話をしていく内にあっという間に駅に着いてしまった。
「じゃあね、高宮くん!」
「ああ。また明日な」
また明日・・・か。
駅の前で私達は別れた。
高宮くんとたくさん話せて嬉しかったな。
こうやって少しずつ、高宮くん達の事を知っていけばもっと良いキャラが作れるようになるかな?
明日からの部活楽しみだな。
こんなに話せる友達ができるとは思わなかったからすごく幸せなんだ。
橘くんや姫島くんとももっと仲良くなりたいな。
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